シルトの会議場を制圧、街はほぼ陥落

2011.10.10


 BBCによれば、リビアの暫定政権軍はカダフィ大佐の生誕地シルト(Sirte)のと大学を占領し、バニ・ワリド(Bani Walid)でも進展がありました。二つの記事から新しい事実をまとめました(記事)。

記事1

 暫定政権は重要な大通の支配権を得て、カダフィ支持派が保持しているコンファレンス・センターを孤立させました。「いま、非常に激しい戦いがシルトにあります」と国家暫定評議会代表、ムスタファ・アブドル・ジャリル(Mustafa Abdel Jalil)は言いました。「今日、我々の兵士は陣地を得て、シルトの市内に隠れている狙撃兵に対処しています」。

 金曜日に暫定政権軍はシルトに最後の攻勢と呼ぶものを開始し、カダフィ軍を陣地から市の中心部へ後退させています。しかし土曜日に、街の支配を得るために、市街戦を戦う内に彼らの急速な前進は失速しました。カダフィ軍の狙撃兵はワガドゥーグー・コンファレンス・センター(the Ouagadougou conference centr・kmzファイルはこちら)、大学、集合住宅の屋上から発砲しました。しかし、暫定政権軍はワガドゥーグー・コンファレンス・センターとシルト中心部をつなぐ大通りの支配権を勝ち取りました。暫定政権軍戦闘員、ファラジ・レシャシ(Faraj Leshersh)は、カダフィ支持派は建物の間を移動するの隠すために、塹壕を使ったり、タイヤを燃やして隠蔽を行う専門家だと言いました。「彼らは粉塵を利用して、少し前進しました。我々と彼らの間は500mです」。

記事2

 暫定政権軍指揮官は、ワガドゥーグー・コンファレンス・センターを占領したと言いました。しかし、シルトの中心部では激戦が続いています。シルトが陥落すれば、カダフィ大佐が逃走中でも暫定政権は国土の開放を宣言します。ジャリル代表は「上手く行けば、私はこれらの街(シルトとバニ・ワリド)が今週中に解放されると考えています」と言いました。

 カダフィ支持派はアフリカ・サミットのために建設され、広範囲に広がるワガドゥーグー・コンファレンス・センターに要塞を建設しました。屋上に配置された狙撃兵は接近した暫定政権軍兵士を狙い撃ちにしました。しかし日曜の午後までに、暫定政権軍はひどく損傷した施設を支配したと言いました。

 彼らはイブン・ジマ病院(the Ibn Sina hospital・Ibn Simaとも表記・kmzファイルはこちら)も占領しました。そこは攻撃で負傷した人たちが治療を求めていました。多くは民間人ですが、その他はカダフィ支持派である疑いにより暫定政権に拘束されました。暫定政権軍兵士は通路を歩き回り、身分証をチェックし、変装していると考えられる人たちのベッドを捜索しました。AP通信の記者は、負傷者が外からの発砲を防ぐために、車輪付き担架と床の上に横たわっていたと言います。「私たちは50人の捕虜を連れて行きました。大半は傭兵でした。彼らは負傷者の振りをしてベッドに横たわっていました。一部は負傷していました。私たちはカラシニコフ小銃とその他の武器を彼らのベッドの下から見つけました」と暫定政権軍野戦指揮官、オサマ・スェリ・ムタワ(Osama Swehli Muttawa)は言いました。病院はまだ電気と水がなく、少数の医学生と看護婦が唯一の医療スタッフです。暫定政権はカダフィ大佐の息子の1人が病院に隠れていると考えていましたが、未だ不明です。

 BBCのワイア・デーヴィス(Wyre Davies)は暫定政権軍がカダフィ軍が放った迫撃砲の集中砲火で大損害を被ったと言いました。特派員は郊外の野戦病院で何十人もの負傷した兵士に会ったと言います。

 暫定政権軍は金曜日と土曜日に、シルトで戦車と大砲を含む重火器に直面しました。暫定政権指揮官、ナセル・ザムード(Nasser Zamud)は大学の戦闘で大勢の狙撃兵に直面し、困難であると言いました。


 攻めてみれば意外とあっけなかったようです。先に言った通り、 ワガドゥーグー・コンファレンス・センターに立て篭もったのは失敗でした。衛星写真を見ると、ここが包囲されやすいことが分かります。

図は右クリックで拡大できます

 コンファレンス・センターはカダフィ大佐の邸宅(kmzファイルはこちら)に近く、邸宅の周辺は警備を簡単にするために他の建物がありません。シルト中心部との間には記事で言う「大通り」があり、ここは公園のような施設になっています。大学はどこか確認できませんでしたが、大通り西端(写真左上角)にある大きな施設がそうかも知れません。この大通りを暫定政権軍が占領すると、センターは街から切り離されてしまうのです。孤立したセンターが陥落するのは時間の問題です。大量に砲弾を撃ち込んでから、狙撃兵を撃ち倒しながら接近し、建物に突入すればよいわけです。

 暫定政権はこの陸上戦闘の基本を守ったようです。戦闘は比較的早くに終わりそうです。あとは病院の施設を復旧し、医師を派遣し、医薬品を配送することです。シルトの戦闘はほぼ終わったと言える段階に来ました。



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