マクリスタル退役大将がブッシュ政権を批判
2011.10.11
修正 2011.10.12 4:35
大統領に対する侮蔑発言などで辞任した、元アフガニスタン駐留米軍指揮官、スタンリー・マクリスタル大将(Gen. Stanley McChrystal)が、木曜日にアフガンの現状について述べたとmilitary.comが報じました。
マクリスタル大将は外交評議会で述べた言葉で、アメリカとNATO軍の同盟国は戦争目標の50パーセントを少し上回るだけしか達成していないと言いました。彼は達成すべき残された仕事で最も難しいのは、普通のアフガン人が信頼でき、タリバンの拮抗勢力として機能する合法的な政府を作り出すことだろうと言いました。「私たちは十分に知りませんでしたし、今でも十分に知りません」「私を含めて、私たちのほとんどは、状況と歴史についてあまりにも単純な見方をしており、少なくとも50年間の最近の歴史について驚くほど単純な見方をしていました」。米軍はアフガンの言語を知らず、それらを学ぶための効果的な努力をしなかったと彼は言いました。マクリスタル大将は、アフガンに行ってから2年未満でイラクを侵攻するというブッシュ政権の決定がアフガンでの努力をより難しくしたと言いました。イラク侵攻が「アメリカの努力に関するイスラム教の世界観を変えた」ために「私は明らかに彼らが問題を難しくしたと考えます」と彼は言いました。「2011年に我々がタリバンを追跡した時、我々が自分自身を守る能力と権利があり、タリバンがアルカイダを匿っていることに合理的だという一定の理解がありました。私はイラクに行く決定をした時、(ほとんどのイスラム世界の見地では)合理性はより小さいものでした」。イラクはアフガンでよく使用された軍事資源を転用させもしたと彼は言いました。
もう恐いものがないのか、かなり好き勝手に発言し、結果としてマクリスタル大将はブッシュ大統領の対テロ戦のほとんどを批判してしまっています。アフガンでのアルカイダ追跡が中途半端なのにイラクに侵攻することの問題点は当時から指摘されてきました。しかし、この戦いを現地で経験した軍高官からの発言は珍しいことです。
それにしても、今さらこうしたことを言われても、まさに「覆水盆に返らず」というべきです。これは当時、決断を下す前に議論すべきことでした。しかし、国から給料をもらう軍人は、基本的には戦争をすることを前提に物事を考え勝ちです。それが出来なければ、自分たちの存在価値が疑われると、彼らは考えます。その結果、軍事の専門家である軍人が戦争に反対すべき時に反対しないという、最も疎むべき事態が起きるものなのです。こうして、大した検討なしに、大した準備もなしにアメリカは戦争に突入しがちです。マクリスタル大将の発言は、過去のアメリカの戦争のやり方も反映していると言えます。
イラク侵攻に反対したのは米下院のバーバラ・リー一人で、上院は反対する者はいませんでした。当時、イリノイ州議員だったバラク・オバマもイラク侵攻に反対し、2005年に上院議員として連邦議会に登場します。誰もがイラクに侵攻するのが当然だと考え、疑っていませんでした。
考えてみれば、日本国内も小泉フィーバーに浮かれ、誰もイラク侵攻を疑問視しませんでした。マスコミも「それでいいんじゃない?」という調子でした。私は松本サリン事件で事件現場の住人が犯人視された件と、イラク侵攻に共通点を感じます。誰もが間違った判断をして気がつかず、地下鉄サリン事件という第二の事件を招きました。要するに、我々は普段、あまり物事を真剣に考えていないのですが、意識の上では熟考していると思い込み勝ちなのです。だから、こういうとんでもない間違いが繰り返されるのです。
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