アムネスティが暫定政権軍の虐待を報告
BBCによれば、アムネスティ・インターナショナルはリビアの暫定政権は専断的な拘留と囚人の虐待を止めなければならないと言います。
報告書の中で、アムネスティはここ数ヵ月間に数千人の人々の拷問と虐待の証拠があると言いました。カダフィ大佐の傭兵とされたサハラ以南のアフリカ人が特に標的とされました。暫定政権は主張を調査すると約束しました。
カダフィ大佐の息子、ムタシム(Mutassim)が拘束されたという未確認の報道があります。国家暫定評議会の一部の人たちは、彼がシルトで捉えられたと言いました。しかし、シルトの軍指揮官は主張を否定しました。BBCのキャロライン・ホーリー記者(Caroline Hawley)は、事実が確認されれば、ムタシム・カダフィの拘束は暫定政権にとって大きな進展だと言いました。彼はカダフィ軍の高官で、カダフィ大佐付きの国家安全保障補佐官でした。
暫定政権軍はシルトの大半を支配したと言いましたが、BBCのワイア・デーヴィス(Wyre Davies)は、水曜日以降、彼らは少し戦闘で押し戻されたと言います。AFPは、暫定政権軍は2km、警察本部へ向けて後退し、カダフィ軍の陣地を大砲で砲撃する予定です。戦闘員は、この地域にまだ民間人がいるので、重火器を用いることを避けるのを望んでいました。
アムネスティは、約300人の囚人と面談した後で、「新生リビアを貶める監禁虐待」というタイトルの報告書を公表しました(pdfファイルはこちら)。アムネスティはトリポリ陥落直前の8月18日から9月21日まで、トリポリとザウィヤ、ミスラタ周辺の拘置施設11ヶ所を訪問しました。グループは兵士、傭兵だけでなく、カダフィ支持者と疑われた者への拷問と虐待を見出しました。「場合によっては、自供を引き出すためや処罰としての拷問の明確な証拠があります」。調査員は一つの施設で拷問道具を見つけ、別の刑務所では鞭の音と叫び声も聞きました。少なくとも2ヶ所の異なる拘置施設の警備員は供述を得るために収容者を殴打していることを認めました。別の事例では、強姦とカダフィの傭兵であることで告発された17歳のチャド人は、彼が自白をする決意をしたほど厳しいものだったと言いました。「私は彼らが聞きたいことを話すことになりました。私は彼らに私が女性を強姦し、リビア人を殺したと言いました」とチャド人の収容者は言いました。
トリポリ市内と周辺の地域だけで、暫定政権軍は約2,500人を、大半は逮捕状なしに拘束しました。「私たちは暫定政権が多くの困難に直面していると理解しますが、いま彼らが明確に過去との決別をしないのなら、彼らは新生リビアではこうした拘留者の扱いが許容されるというメッセージを効果的に送ることになります」とアムネスティのハシバ・ハジ・シャラウイ(Hassiba Hadj Sahraoui)は言いました。彼女は「暫定政権はこうした虐待が定着し、新生リビアの人権の記録に汚点を残す前に、至急、公約を転換しなければなりません」。
報告書は、収容者が彼らの逮捕の合法性に異議を申し立てられるように、リビア当局がすべての拘置施設を司法省の支配下に置くよう迫りました。暫定政権は人権を守り、国の司法システムを改革すると繰り返し誓約しています。
ロイター通信は、評議会広報官、ジャラル・アル・ガラル(Jalal al-Galal)が「(暫定政権代表)ムスタファ・アブデル・ジャリル(Mustafa Abdel Jalil)は繰り返し、彼は囚人の虐待を許容せず、こうした訴えをすべて調査することを明確にしています」というのを引用しました。
アムネスティの報告書はカダフィ時代に犯された虐待への回帰の恐れをもたらします。どのような意義もすばやく抑圧されたため、拷問と大量虐殺は今年の紛争の前と最中の両方で広く行われました。
報告書は詳しく読んでいませんが、ざっと見た感じでは非常に興味深い内容のようです。
虐待された収容者の身体を撮った写真を見ると、思ったほどのひどい拷問ではない点に気がつきました。カダフィ大佐の息子の家で家政婦が頭から熱湯をかけられ、全身に火傷を負った映像に比べると、軽い方です。もちろん、いかなる拷問も認めるわけにはいきません。しかし、イスラム国家では多くの国で拷問が容認されています。日頃、耳にする話からすると、これらの写真は軽度の拷問だと言えます。
アメリカもテロとの戦いにおいて拷問を多用しました。精神的、肉体的にテロ容疑者を追い詰めることで、彼らから情報を引き出し、勝利が得られると信じたのです。いくら綺麗な言葉を用いても、戦争はこうした醜い行為の堆積物に過ぎません。日本でも警察は未だに強引な取り調べを用い、身体に傷が残らない拷問が用いられています。ところが、これについてマスコミは問題視しませんし、国会でもほとんど議論されず、国民の日常会話の中でも取り上げられることはありません。たまに、冤罪を晴らした人から警察の尋問のひどさが語られる時に話題になるだけで、誰もが「自分にはそんなことは起こらない」と考えます。しかし、暴力というものは、常に突然に目の前に表れ、想像もしていなかったひどい損害を与えるものです。このことに気がつく人は僅かです。硫黄島から引き揚げてきた海軍パイロットの坂井三郎氏は、硫黄島の様子に比べると、東京はまるで戦争などしていないように見えたと感じたと言います。小泉総理の決定でイラクに自衛隊を送ることになった時も、派遣される日本人は僅かなので、反対しようとする強い動機にはなりませんでした。しかし、福島第1原発が壊れて放射線が漏洩すると、多くの人たちに関係することなので、反原発の意識が全国民的に高まります。情けない話ですが、これが実態です。しかし、私はむしろこれを逆手に利用することで、平和を達成する一助になるのではないかとも考えています。
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