クリントン長官がトリポリを訪問

2011.10.19


 BBCによれば、ヒラリー・クリントン国務長官(Secretary of State Hillary Clinton)がリビアを電撃訪問しました。

 クリントン長官は2〜3時間だけトリポリに滞在し、カダフィ大佐が追放されてからリビアを訪問する最初の閣僚級当局者となりました。国務長官はカダフィ大佐が逮捕されるか殺されることを望むと言いました。

 国務長官の訪問は、カダフィ大佐の生地、シルト(Sirte)での戦闘が再発した時に起こりました。特派員は火曜日に暫定政権軍は火曜日朝に攻撃を受けたと言いました。少なくとも35人の暫定政権軍兵士が野戦病院へ連れて行かれると報告しました。「彼らは狙撃銃、迫撃砲、RPGで至るところから我々を攻撃しています。それは残忍な内幕です。我々は至るところから攻撃されています」と暫定政権兵士、ターハル・ブルゼザ(Tahar Burzeza)は病院で語りました。カダフィ支持者は最初に失った場所を奪還して、迫撃砲は数日間発砲がなかった街の南部に着弾していました。

 クリントン国務長官は、暫定政権代表、ムスタファ・アブドル・ジャリル(Mustafa Abdul Jalil)と首相、マフムード・ジブリ(Prime Minister Mahmoud Jibril)、財務大臣アリ・タルホーニ(Ali Tarhouni)と会談を行いました。「私は自由なトリポリの地に立つことを誇りに思い、米国民に代わってリビアを祝福します」。長官は病院を訪問し、トリポリ大学でタウンミーティングの形で学生に講演を行いました。「私たちはみなさんがもう恐れなくてもよいように、すぐに彼(カダフィ大佐)が逮捕されるか、殺されることを望んでいます」。長官は暫定政権がカダフィ軍と戦うために様々な民兵を統一することが重要だと言いました。「国軍と警察を民間人の指揮下に置くことは重要です」。長官は暫定政権は基本的な行政サービスを復旧し、大量のなくなった対空ミサイルを探すことでアメリカの支援に依存し続けられると言いました。クリントン長官の訪問は保安上の懸念から秘密にされ、長官の到着前に厳重な警備手段がとられました。

 長官の訪問は、イギリスとフランスの指導者が訪問した後に続きました。クリントン長官はマルタ島からトリポリへ飛びました。そこで彼女は、リビア危機への支援の礼を言うため、ローレンス・ゴンジ首相(Prime Minister Lawrence Gonzi)に会いました。マルタ島は人道支援の中心地でリビアの労働者の避難所でした。

 military.comによれば、NATO軍広報官、カルメン・ロメロ(Carmen Romero)は、同盟国のリビア空爆は終わりに「非常に近い」と言いました。しかし、まだカダフィ軍から民間人への脅威が続いているため、正確な日取りは決めていないと言いました。NATO軍の航空機は3月19日に空爆を始めてから9,500回以上の攻撃任務を行いました。夏の最も多い時期は1日に約70〜80回の空襲を行いましたが、戦いが2〜3の街に限られてからは1日平均15回に減りました。ロメロ広報官は、NATO軍が治安状況について広範な政治的軍事的な分析を行ったあとで、作戦終了を決定するだろうと言いました。


 戦闘の終結が訪れ、すでに外交合戦が始まっています。日本には何の動きもありませんし、それをマスコミが批判することもありません。閣僚の性別に関係なく、一定の治安が確保された段階で、重要人物が紛争地を訪問して関係を取り結ぶわけです。こんなことに関係なく、政局ばかりが話題になる日本は考えを変えるべきです。

 クリントン長官が述べたことは、いまアメリカがリビアで最も重要だと考えられることです。国が各地の軍閥ごとに分裂するのは最も危険な状態ですし、紛失したとされる対空ミサイルはアフリカやその他の地域で民間航空機へのテロに使われかねません。化学兵器の紛失は一応はないとみられているようです。すぐに発射できる携帯ミサイルと違い、化学兵器はドラム缶で大量に運び、それを気化させるなどの措置が必要だから、扱いが面倒です。こうしたことに関心を持っているということを、国の代表に示し、さらに将来、国を担う学生たちに面会して、強烈な印象を残すわけです。こうした仕事をしてこその政治家ですが、日本の政治家がやることは滅多にありません。マスコミの活動も低調なので、それでも批判を受けないからです。日本全体が情けなくなっていて、いまは誰もそれを問題視していません。



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