南スーダンで石油を巡る紛争が激化
BBCによれば、南スーダンで「南スーダン解放軍(the South Sudan Liberation Army: SSLA)」がマヨム(Mayom・kmzファイルはこちら)を攻撃し、少なくとも75人が死亡しました。死者の内訳は政府軍9人、民間人15人、南スーダン解放軍が50人以上でした。
南スーダン解放軍は攻撃で兵士700人以上を殺したと言います。マヨムを支配しているという彼らの主張は地元と当局者により否定されました。金曜日に、南スーダン解放軍は国連職員と援助要員に出国するよう警告しました。この警告は今、近くのワルプ州(Warrup state)にまで広げられました。
反政府軍は、彼らが汚職、低開発、現在、南スーダンを運営する元反政府軍のスーダン人民解放運動(the Sudan People's Liberation Movement)の支配と戦っていると言います。
BBCのジェームズ・コプナール記者(James Copnall)は、SSLAの反乱はマヨムの位置が国の収益の98%を占める大半の油田があるユニティ州(Unity State)にあることから、特に神経質な問題だと言います。
日本は自衛隊を南スーダンに派遣しようとしています。しかし、この独立して間もない国は石油資源による争いが激化しようとしているように見えます。
南スーダン解放軍は内紛の中で分派した組織です。南スーダンはスーダンから分離独立したことから、スーダンが再編入を画策する可能性もあります。事実、南スーダン政府はスーダンが南スーダン解放軍を支援していると非難し、スーダンはそれを否定しています。
さらに、石油に関して国際的な利権が絡んでいます。下の地図は、2001年に各国が保有していた石油利権を示しています(元データはこちら)。この構図が南スーダン内紛にどのような影響を及ぼすかが問題です。地図が示すように、中国も南スーダンに利権を持っています。外国から自衛隊の活動に横槍が入ったら、どう対処するのでしょうか?。尖閣諸島で中国漁船が海保艦船に衝突した事件のように、変な妥協を図ることはないのでしょうか?。
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地図は右クリックで拡大できます。
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南スーダン解放軍が国連職員と援助要員に脱出するよう警告しているのは、今後、この地域で戦闘を活発にすることを決めているからです。南スーダンを視察した石田勝之内閣府副大臣は、首都ジュバは平穏だと主張しています。今回衝突が起きたマヨムとジュバの間には550km程度の距離があります。確かに、直ちに南スーダン解放軍がジュバを攻撃することはできないように見えます。それを考えるには、紛争当事者の戦力比を検討する必要があります。これは今後、当サイトでもやっていきたいと思います。
政府はまだ詳しい派遣計画を示していませんが、派遣する場所によって成果は大きく変わってくることになるでしょう。また、ジュバは幹線道路は舗装されていますが、その他の道路は未舗装です。どこをどう直すのかが未決定なので、道路舗装の成果は何とも言えません。
産経新聞はこうした危険な国に自衛隊を派遣する際に、武器使用を認めるべきだという発想しかないらしく、9日付けの記事で「しかし、政府に懸案の武器使用基準の緩和に踏み切る気配はなく、国際貢献の美名の下に、自衛隊は不条理な制約を課せられたままの出発を強いられそうだ。」と書いています。自衛隊を厄介な国際紛争から遠ざけて、純粋に自国防衛のために活用するという戦略論はありません。産経新聞が過去に軍事的無知をさらけ出す記事を報じてきたことを考えると、こうした主張に耳を貸すべきではないと、私は考えます。とにかく、海外派遣して武器を使用し、なし崩し的に自衛隊の海外での戦闘活動を容認させようという考えしか見えません。そんな発想では、2003年のイラク侵攻と同じ結果しか生まないでしょう。産経新聞は単に右派の姿勢を見せたいだけで、こんな主張をしているのです。南スーダンの地勢分析は記事に一つも書かれていません。理念だけで軍事を動かせると過信している証拠です。
日本の政界には、軍事問題に賢明な判断をする人がいません。軍事通といわれる民主党の前原誠司氏も、自民党の石破茂氏も現在のような複雑な国際紛争を解決するだけの能力はないと私は見ています。こうした陣容で、国際紛争になど介入しようと思うべきではないのです。
道路整備中に攻撃を受けた場合は撤収を第一に考えるべきです。万一、南スーダン政府軍が総崩れになり、ジュバが陥落しそうになった場合を想定するなら、ジュバに近いコンゴ、ケニヤ、ウダンガに避難路を事前に用意しておくべきです。こうして、国連の任務を達成しながら、犠牲者を出さない道を模索すべきです。「その場に留まり交戦せよ」は、最も有害な命令です。
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