スーダンが南スーダンの難民キャンプを爆撃

2011.11.14


 BBCによれば、国連人権高等弁務官(UN human rights chief)、ナビ・ピレイ(Navi Pillay)は南スーダンの難民キャンプを爆破した県で調査を要請しました。

 国連はスーダンを石油が豊富なユニティ州(Unity state)で攻撃を行ったと非難しました。ハルツーム(Khartoum)は主張を否定しました。南スーダン当局は、空襲で少なくとも12人が死亡したと言います。

 国連平和維持担当事務次長、エルベ・ラドソス(Herve Ladsous)は爆撃について説明し、スーダンを非難しました。南スーダンのサルバ・キール大統領(President Salva Kiir)は侵略を計画したとしてスーダンを非難しました。アメリカはキール大統領に自制を要請しました。  アメリカの運動組織「Enough Project」は、衛星画像はスーダンが国境沿いでその爆撃能力を強化し、さらなる攻撃の見込みを高めていることを示すと言います。

 ピレイ女史は木曜日のヤーダ・キャンプ(Yida camp)への爆撃について独自の信頼できる調査が必要だと言いました。その攻撃はBBCのジェームズ・コプネール(James Copnall)が目撃しました。「本当に国際犯罪や深刻な人権侵害が行われたと確認されたら、責任者は法に照らして処罰されなければなりません」とピレイ女史は言いました。

 しかし、スーダン軍広報官、サオミ・カリド・サード(Sawarmi Khaled Saad)は急襲へのいかなる関与も否定しました。「この情報は完全に間違っています。我々はどのキャンプは南スーダン領内のどの場所も爆撃しません」と彼は言いました。

 数千人の人々がスーダンの南コードファン地区(South Kordofan region)での戦いを避け、ヤーダ・キャンプに避難するために国境を越えました。

 スーダン軍はしばしば南コードファン地区を爆撃したとして訴えられてきました。

 南スーダン解放軍(The South Sudan Liberation Army)はユニティ州でも活動しており、南スーダンを不安定にするためにハルツームのために活動しているという主張を否定します。

 ユニティ州のパリアン郡の長官、ミアベク・ラング(Miabek Lang)は、空爆で少なくとも12人が死亡し、20人が負傷したと言いました。

 BBCのジェームズ・コプネールは、2番発目の爆弾が命中した時、正午頃(GMT)にキャンプを訪れたと言います。彼はちょうど、食糧を運ぶ国連のヘリコプターが急ごしらえの着陸ゾーンに着地した時、近くで爆発が起きて、深く恐ろしい音があったと言います。北へ向かう大型機が見えたと記者は言います。キャンプの数人の住民は、それがスーダン政府がよく間に合わせの爆撃機として使うアントノフだと言いました。難民は飛行機が2回の爆撃を始める前に旋回したと言いました。5個の爆弾が投下され、4個が爆発したと記者は言いました。


 残念ながら、ヤーダ・キャンプの正確な位置は分かっていません。「Enough Project」の記事に、ユニティ州の最北部、北の国境から約11kmの位置にあると書かれています。南コードファン地区から南スーダンに至るGoogle Earthで「B58」と記された道路の近くにあるのだと想像します。この道路は首都「ジュバ」、まもなく自衛隊が派遣される場所へ通じますが、直線距離で約580km離れていますし、道路は曲がりくねっています。

 明らかに、スーダン政府は南スーダンへの侵略を考え、入り口にあるヤーダ・キャンプが邪魔なのです。自衛隊派遣とからめて考えると、スーダン軍がどこまで南スーダンへ侵攻できるかが問題です。戦略的に見れば、石油が出る地域を押さえられればよいと言えるので、ユニティ州を防衛するための戦略的要地を占領できればよいということになります。つまり、たとえ両国が戦争状態に突入しても、ジュバにいる自衛隊部隊は安全かも知れないということになります。しかし、こうした紛争に明け暮れる国で道路整備をすることが、本当に復興につながるのかは疑問です。また、低い可能性と言っても、ジュバが戦場になる可能性は常に検討しなければなりません。

 こうした問題を考えるには、スーダン軍の能力をもっと知る必要がありますが、時間的な問題でまだ完了できていません。



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