米軍が歩兵用小型運搬車料を開発中
military.comによれば、米陸軍は弾薬、水などを運ぶ歩兵用の6輪貨物輸送車を開発しています。
これは新しい概念ではありません。陸軍は現在は廃止された未来戦闘システム(the Future Combat Systems)の計画の一環として、何年も「多機能実用輸送装備車両(the Multifunction Utility Logistics Equipment vehicle: MULE)」をテストしましたが、2009年12月に廃止される結果に終わりました。
しかし、最近、陸軍遠征戦闘実験(the Army Expeditionary Warfighting Experiment: AEWE)の一環として6輪輸送車の2機種をテストしてからは、フォート・ベニング基地の歩兵は現在、考え方が違うようです。「我々は兵士に過負荷をさせていましたが、それをやめる方法を見つけました」とAEWE計画のゲーリー・ダニエル(Gary Daniel)は言いました。「私が作戦中にアサルトパックと共に移動できて、このシステムに120ポンドのリュックサックを与えられれば、そだだけでメリットがあります」。
陸軍は過去数年間、兵士の戦闘用の荷物を軽くしようとしてきました。2008年に始まった努力は機関銃、防弾具、その他の装備の軽量化をもたらしました。問題は、水、弾薬、手榴弾、迫撃砲弾、その他の必需品が軽くなりそうにないことでした。そこで、一部の陸軍当局は分隊と小隊の兵士は基本的な荷物を運ばなければなりませんが、無人車両が数百発の弾薬、何ガロンもの水、追加のバッテリーを運んで、彼らの後に続くことが出来ると考えました。
評価を受ける車両の一つはロッキード・マーティン社の「分隊任務支援システム(Squad Mission Support System: SMSS)」で、陸軍はいくつかの試作品を今月末に限定的な戦地評価のためにアフガニスタンに送る予定です。11フィートのSMSSはCH-47ヘリコプターに乗せて空中強襲ができ、最大125マイル(約201km)まで1,200ポンド(約544kg)の荷物を運べます。
AEWEのもう1つのテストされる車両は、ノースロップ・グラマン社の「万能運搬機械化装備車両(the Carry-all Mechanized Equipment Landrover: CaMEL)」です。CaMELはSMSSの半分の長さで、1,000ポンド(約454kg)を運べます。6輪ですが、必要なら取り外せる特別なキャタピラを装備しています。
ノースロップ・グラマン社は、CaMELが小さなセンサーを着けた兵士をロックオンして、彼の少し背後をついていくと予測します。ロッキード社のSMSSも兵士の3Dの輪郭をロックして追跡するか、事前にプログラムしたルートを辿るためにGPSを使います。
ベニング基地の当局者は、11月初めに兵士によるテストを終え、いまは陸軍試験評価部が訓練・教義部のために調査結果を報告書にまとめるのを待っているところです。
試作品の車両が元記事に掲載されています。これがどちらの機種なのかは不明ですが、設計のコンセプトは理解できます。
これは間違いなく採用されるという気がしました。最近の戦闘では場所によって、徒歩による移動が行われていると聞きます。兵士の足腰への負担は以前から気になっていたところです。兵士は肉体を鍛えますが、それはかなりの部分で、こうした荷物を運ぶためです。自分の食糧、水、医薬品、弾薬などの基本的な装備品は、足腰を痛めるに十分な重量になります。さらに、追加の装備も運ぶとなれば、彼らの体力は荷物を運ぶことにほとんど費やされます。小型の輸送車両があるなら、問題の多くは解決できるでしょう。
なお、時間があれば紹介したいのですが、米陸軍は105mm榴弾砲のために新型の砲弾「M1130E1 High Explosive Pre-Formed Fragments, Base Bleed: HE PFF BB」を開発中です(記事はこちら)。「事前形成破片ベースブリード榴弾」とでも訳せばよいのでしょうか。この砲弾にも補給の負担を軽減する狙いがあります。また、より小口径の105mm弾を開発していることは、近年の対テロ戦のために、より早く、簡単に火砲を戦地へ派遣することを米陸軍が考えていることを示しています。
しかし、こうした装備品があるからといって、愚かな戦略コンセプトで戦争をするならば意味がないことも理解しなければなりません。
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