米空軍兵士が英霊輸送用棺で記念写真
military.comによれば、米空軍が死者の尊厳に関してまた問題を起こしました。第345訓練隊の兵士が棺に入って死んだ真似をして、仲間と記念写真を撮っていました。
空軍はインターネット上にアップロードされた、首の周りに輪なわをつけて死んだ振りをした兵士が入った開けられた棺と共に空軍兵士がポーズを取った写真を調査しています。写真は15人の軍服を着た空軍兵士が輸送用容器の中の「死体」を取り囲んだのを示し、真下に「Da, Dumpt, Da Dumpt … Sucks 2 be U.(ダ、ダン、ダ、ダン……お可愛そうに)」と書かれています。
「我々はこの問題を深刻に受け止めています」と空軍のマイケル・ドネリーは、フォート・リー基地(Fort Lee)の第345訓練隊が8月23日に撮影したと見られる写真について言いました。「こうした行為は我々の本質的価値と一致しておらず、私が知る空軍兵士を代表しません」「これが我々の英霊の家族にさらなる悲しみを引き起こしかねないことを私は悲しみます」と彼は声明で言いました。
写真は「Air Force Times」に送られて明るみに出ました。写真が撮影された理由や記されたものが意味するところを示すものはありませんでした。少なくとも2等軍曹1名と3等軍曹1名を含む隊員のほとんどは、腕を前でに出して、手首を交差させ、首の真下に持っていき、空港部隊の隊員が「止まれ」や「貨物固定」を意味する手信号をしていました。
第345訓練隊は空軍の空輸と輸送の学校です。ここで訓練される空軍兵士は遺体の威厳を保った輸送を教育されませんが、部隊の広報官は写真にみられるような輸送用容器は基地に保管されていると言いました。
写真を「Air Force Times」に送った陸軍2等軍曹は、写真が10月にフェイスブックにアップロードされ、有人がそれにタグをつけた後で元兵士によって見つけられたと言いました。エリアス・ボニラ2等軍曹(Staff Sgt. Elias Bonilla)は、写真の中の人はそれについて連絡を受けた時、笑い飛ばしたと言いました。元兵士は他の兵士に送りはじめ、ボニラが写真を「Air Force Times」に送るまで続けました。「私は我々が燃える車両から引っ張り出し、崩壊した建物から引っ張り出した戦死者を連想せずにはいられません」と電子メールで「Air Force Times」に言いました。
空軍のすべての部隊の訓練を監督する、テキサス州ランドルフ空軍基地(Randolph Air Force Base)の空軍教育訓練司令部(The Air Force’s Air Education and Training Command)は、「Air Force Times」に連絡を受けた後で調査を命じました。調査には約2週間かかります。
事件としては小さなものかも知れませんが、小さいだけに日本では紹介されることがないので取り上げました。
陸軍の兵士にすれば、空軍兵士がふざけたことをやっているのは我慢がならないのは当然です。彼らは戦地で味方の犠牲者を見ていますから、戦死者が尊厳を保って輸送されることを望みます。空軍にその気がないというのなら、痛い目を見せてやるまでというわけです。
同時多発テロから十年が過ぎ、すでにこの事件を直接見ていない者が軍務に就くようになり、実感が湧かない状態になっていることにも原因があります。戦争を直接体験することと、伝聞として戦争体験を聞く場合では、印象が違います。人間の限界として、他人の体験を自分の体験にすることはできません。精々、相手を思いやるくらいしかできないのです。戦争のような大惨事においても、それは変わることがありません。「怒りは引き継げない」のであり、あっという間に惨事を知らない世代が世界を引き継ぎ、最初の怒りは忘れ去られてしまいます。最近、日本でオウム真理教の後継組織「アレフ」への入信者が増えているというのも、同じ理由によるものです。同時多発テロ直後に報復攻撃を主張したアメリカ人たちは、このことをどれだけ認識していたでしょうか。
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