経済危機でEU諸国が軍資源の共有化を検討

　military.comによれば、EU諸国の防衛大臣はヨーロッパの債務危機が軍事予算に影響を与えることによる緊縮経済の手段として、軍事資源の共同出資と共有を考えています。

　水曜日の会議で大臣たちが検討した別のコスト削減手段は、ボスニアでのEUの平和維持軍を1,400人から600人へ削減することでした。彼らは慣例として匿名で話しました。

　27ヶ国の国家圏は世界で二番目に大きな防衛費を持ち、それは2,000億ユーロ（2,650億ドル）に及びます。しかし、軍事予算は過去10年間に15％縮小し、今後数年間でさらに削減されることが決まっています。

　ヨーロッパの軍隊にとって悪いことに、国家の軍統制と防衛産業が分断されていることは、軍の装備品の入手において「規模の経済（economies of scale）」を成し遂げることをほとんど不可能にしています。

　過去十年間にEU諸国の軍隊は中東、アジア、アフリカで活動しましたが、補給、諜報やその他の支援で多くをアメリカに依存してきました。

　記者たちに説明を下当局者は、すぐに認識された節約する分野は、空中給油機の共通化、統合野戦病院の設立、共通のパイロット訓練計画、ヨーロッパ産のスマート弾のようなアイテムの共同調達だったと言いました。

　EU諸国は160万人の軍人を持ちますが、海外での任務のために軍と装備を作り出すのが困難でした。当局者は新しいヨーロッパ空輸司令部（European Air Transport Command）を、戦略輸送における統合の整備と要員の訓練の節約をもたらす好例になると言いました。オランダのアイントホーヴェンを拠点とする多国籍軍司令部は、200機を越える輸送機の活動を調整します。新しいエアバスA400Mは統合されたヨーロッパ飛行隊のバックボーンになります。約200機が８ヶ国のEU諸国の空軍に入る予定です。

　なお、時間がなくて紹介できませんが、別のmilitary.comの記事では、今後10年間で米軍予算を１兆ドル削減できるという目標を達成できるものの、そのためには30〜45個戦闘旅団の削減を意味すると書いています。

　先日、米海軍の曲技チームも予算削減という記事を見かけました。記事を示そうとしたのですが、うまく検索できませんでした。

　経済問題が大きくなると、予算額が大きな軍事予算は真っ先に削減の対象となります。これは日頃、節約をやっていない軍隊にはよい刺激になると思います。

　軍隊のほとんどの装備品はコストを意識して作られていません。軍は新しく開発する装備の仕様を示し、防衛産業はそれに合致する製品を開発します。仕様を満たしていれば装備は採用されるため、誰も節約など考えないわけです。軍によって聖域化されているこの分野に口を出す者はいません。節約なんかやって、軍人がそれが原因で戦死したらいけないと考えるからです。しかし、私には装備品には節約できる分野は色々あると考えており、防衛産業はこういう親切な人々の誤った認識のお陰で潤っていると思います。イラク侵攻以降、米軍ではいくつもの装備品が問題視されましたが、いずれも「節約」の結果として問題が起きたのではなく、普通に開発した装備に問題があっただけでした。本来、こうした問題は民間からも声があがるべきなのですが、変な愛国心に阻まれて、どこの国でも見過ごされているものです。よって、経済危機はそうした問題に目を向ける大きなチャンスです。

　リビアの革命支援でも、欧米は経済危機に足を引っ張られながらでした。今後、世界のどこかで別の危機が発生しないとは限りません。すべて、イラクとアフガニスタンへの意味のない大規模侵攻により、本来行うべき軍事活動が十分に行えなかったのです。そこへ経済危機が勃発して、事態はさらに悪化しました。

　ヨーロッパもアメリカも、思ったよりは賢明ではないことが明らかになってきました。日本も進んだ欧米に学ぶという態度は捨て、自分たちの頭で考えたことを主張・表現して世界に貢献すべき時期に来ています。残念ながら、日本の指導者たちにそういう動きは見られず、未だに「欧米に学べ」という考えが主流です。防衛省には、その傾向は特に強いように思われます。すでに事実上不可能な、普天間基地の辺野古への移転に固執するあたりに、主体性のなさが感じられます。日本人の多くが防衛省はアメリカの腰巾着とみなしていることから脱却しようという動きなんか見られないのです。アメリカに従属することで、日本は再び戦争を起こさないという承認を世界から得ようという発想はすでに歴史的役割を終えていると言えます。日本が世界平和を模索、構築していくという積極的な立場を確立するべきです。