アメリカとパキスタンが批判合戦

2011.12.3
追加 2011.12.4 8:05


 NATO軍がパキスタン軍に空襲を行い、死傷者を出した事件で、アメリカとパキスタンが批判合戦を展開しています。

 military.comによれば、ウォールストリート・ジャーナルは米軍はパキスタン軍が空襲を許可したと主張したと報じました。

 パキスタン軍は自軍兵士がモーマンド部族地域(Mohmand tribal area)に自軍がいることに気がついていませんでした。

 空襲について初期調査の説明を受けた米当局者は、国境調整センターのパキスタン当局者は空襲を許可した時、彼らの兵士がこの地域にいることに気がついていなかったと言いました。米特殊部隊を含むアフガニスタン軍が率いる襲撃隊は国境の野営地から攻撃を受けた時、タリバンを追跡していました。攻撃隊は武装勢力から攻撃されたと考えましたが、襲撃者は一時的な野営地を設けたパキスタン軍要員だと分かりました。現場からの初期報告は空襲しようとした特殊部隊は、パキスタン軍がこの地域にいるかどうかを知るために統合国境管理センターに接触しました。攻撃隊はタリバンに対する自身の作戦について詳細を与えませんでした。センターのパキスタン当局者は、この地域にパキスタン軍はいないと言い、空襲を許可しました。

 一方、パキスタン軍は怒り心頭のようで、NATO軍のいかなる攻撃に対しても反撃を許可すると命じたと、military.comの別の記事は書いています。この命令により、反撃する前に司令部に照会する義務がなくなりました。

 さらに、military.comはパキスタン軍は米軍が間違った場所を教えたために間違いが起きたと反論しています。

 匿名を条件に話したパキスタン軍当局者は、米軍が攻撃を計画する位置を彼らに提供したことを認めました。しかし、情報は遅くに届き、パキスタンは決して攻撃を承認せず、提供された調整はいずれにしても間違っていたと、彼は言いました。「作戦区域に関する間違った情報は攻撃の数分前にパキスタン当局に提供されました」「パキスタン側の許可なく、基地は米軍のヘリコプターとジェット戦闘機に攻撃されました」。

 国境調整センターの米当局者は、初期に提供した間違った情報と引き続いた基地への攻撃について個人的にパキスタン当局者に謝罪したと、彼は言いました。


 双方が言っていることが真実なら、責任はどちらにもあることになります。パキスタン軍はタリバンと間違って発砲したし、米軍は間違った座標を伝えたからです。すると、パキスタン軍が強硬な態度を取っているのは、自分たちのミスを軽減し、アメリカにすべての責任を押しつけるか、できるだけ自分たちの間違いを小さくするためだと考えられます。その点、アメリカはこうした状況ではむしろ正直です。

 結局のところ、双方が不十分な連絡の中で軍事行動をするから、こうした問題が起きるわけです。友軍同士の砲撃の大半はこれが原因です。

 これが事件の真相だとすれば、この事件はしばらくすれば解決することになります。これまでもパキスタンとアメリカは問題をうやむやにすることで解決してきました。今回は双方に誤認があり、いくら追求しても堂々巡りになることは分かっています。

 この批判合戦はしばらく続き、その後調停が図られます。まずは、今月23日までに提出されるアメリカの報告書を待ち、それをよく読むことです。



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