イランが捕獲したRQ-170の映像を公開

2011.12.9

 夜に更新するつもりでしたが、緊急的な情報が入ってきました。今日になって、イランは撃墜したと主張するRQ-170のビデオ映像を公開しました。military.comによれば、米国防総省はそれが本物かを確認していないし、偽物だとも言いませんでした。

 広報官、ジョン・カービー海軍大佐(Navy Capt. John Kirby)は「我々はまったくこの話題についてコメントするつもりはありません」と言いました。「我々は今週すべてを言いました。無人機が行方不明になりましたが、公にしにくい偵察任務について、我々は理由があってそれらを慎重に扱います」と国防総省公報官ジョージ・リトル(George Little)は言いました。記者が無人機を回収したかを尋ねると、リトルとカービー大佐は明言しませんでした。無人機が失われたかについては、「我々は行方不明になったと考えている無人機を回収していません」とカービー大佐は答えました。

 国防総省の曖昧さは、イランの主張が信じられるかどうかについて推測を高めるだけでしょう。

 イラン国営テレビが最初に放送したビデオ映像は、軍将校が巨大で、クリーム色の有翼機の形をした物体を調べているのを示しました。イランは土曜日にそれが撃墜した秘密のRQ-170「センチネル」でほとんど無傷で回収されたと主張しました。

 ビデオ映像のこの「無人機」は戸外の中庭で何らかの台の上に準備され、車輪や下面のセンサーが墜落時に壊れたかも知れないことを示しています。あるいは、それはイラン人がセンティネルの模型を手に入る少数の写真から作り、下面につけるものを知らなかったことを意味します。

 センチネルの機密性はイランに有利(本物の写真が少ししかなく、テヘランのビデオ映像の中の航空機が本物かどうかを決定するのをより難しい)には働きません。

 イランのセンチネルと粒子が粗く、長距離で撮影された写真の1つの鍵となる違いは色です。本物の無人機は空軍で標準的なスレートグレーに塗られていて、イランのビデオ映像の明るいクリーム色ではありません。

 その他の違いは、本物のセンチネルの翼は胴体から僅かに上に伸びているのに、イランの無人機は胴体から真っ直ぐに伸びているように見えます。イランのビデオは航空機の後部を示しておらず、本物のセンチネルの尾部やエンジン排気部を比較する方法はありません。

 空軍とCIAが少し異なった複製品を注文したり、短期の製造工程の間に設計を改良した可能性はあります。だから、航空機自体が均一ではないために、イランが捕獲した無人機は知られている写真から異なっているかも知れません。

 イランの無人機が本物のセンチネルと同じように中央のエンジン・カウリングの両側に2つの隆起部を持つことは、本物と同じ操縦翼面を持つように見せます。

 アメリカン・プレスの報道によると、センチネルはイランと北朝鮮の核開発計画を監視するための非常に小さな、秘密の開発計画であり、空軍はそれが10機に満たないと言います。


 国内ではイランがRQ-170を捕獲したことを確定的事実として報じています。反面、military.comは非常に冷静に事態を分析しています。

 センチネルは公開されている写真が僅かで、図面などもありません。その写真は昨日の記事の元記事に掲載された写真です(写真が載った記事はこちら)。この写真とビデオ映像を比較してみるのは、まずやってみるべき分析といえます。しかし、military.comが指摘しているように、改良型が存在し、形状が異なるセンチネルが存在する場合、この分析は意味がありません。その点に注意しながら、イラン国営テレビの映像を見ていきましょう。

 記事が指摘しているように、機体がクリーム色であることに私は衝撃を受けました。映像の第一印象は非常に疑わしく、絶句させられたというのが正直なところです。ステルス性が重要な機体を、クリーム色に塗るとは思えません。無人機を有人機が視認して発見することすらないように、空の景色に溶け込む色に塗装されるものです。しかし、本物らしく見せたいのに、イラン軍が模型をクリーム色に塗るとも思えず、こういう色の機体が実在した可能性も否定はできません。

 イランは無人機を撃墜したと主張しています。高空を飛ぶ機体が墜落したのに、ほぼ無傷であるはずはありません。ハッキングにより、機体を乗っ取ったのなら、機体に車輪を出して着陸させたかも知れません。それなら、車輪を出した状態で展示すればよく、機体全体を台に乗せる必要はありません。なにより、重たい機体を苦労して台に乗せる必要がどこにあるのかということです。模型の強度が足りなくて、こうするしかなかったとも考えられます。

 国防総省が曖昧な態度なのは、偽物だと分かっていても、それを説明するには本物との相違点を言う必要があると考えているためでしょう。その点の開示は容赦してもらって、偽物なら偽物と宣言した方が不安を払拭できると、私は考えます。



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