進まないマルジャの再建

2011.2.17


 military.comがアフガニスタンのマルジャ(Marjah)の現状について現地レポートを報じました。

 記事には戦いの要点がまとめてありました。

 マルジャ戦は2010年のバレンタインデーに始まり、米海兵隊とアフガン軍7,500人がタリバン戦士を殺し、追い散らし始めました。戦いは数ヶ月続き、春から夏になるときに好転しました。6月に到着した海兵隊の大隊は7ヶ月で18人を失い、2月に開始した戦いで死んだ10人を上回りました。9月までには戦いは峠を過ぎたように見えました。タリバンは議会選挙を混乱させると脅しましたが、失敗しました。

 マルジャの様子は、地元の看板屋が1週間で7,000アフガニ(150ドル)儲けたといった話が中心です。全部訳するのは長いし、まとまりのないレポートでもあるので、できるだけ数字が書かれている部分を選んで紹介します。

 新しい地区責任者がほぼ毎日海兵隊の将校と会って、議論しています。学校と道路が建設中です。バザールにはジムも作られています。海兵隊のデーブ・ハッドスペス中佐(Lt. Col. Dave Hudspeth)は、対ゲリラ戦の「支配(hold)」段階に入ったと言いました。「約75%は支配中及び建設中、約25%は掃討中です」「時々、50%-50%になりがちです」。

 ヘルマンド州は大麻の53%を供給してきました。ヘルマンド州再建チームのISAFの文民高官のマイケル・オニール(Michael O'Neill)は、この州の大麻の生産は過去2年間で37%まで下落したと言いました。

 ジムは1日に1時間開くことになっていますが、しばしばそうではありません。学校は1日に2時間開かれますが、教師や子供たちが現れるのを止めると閉じられます。

 海兵隊は主要道路が舗装されることを知っていましたが、ある日労働者たちが現れ、事前の整地と排水を何もせずに仕事を始めたので驚きました。「私はスクレープドーザ1台とダンプトラック1台がラシュカル・ガーにあると聞いていました。それらは壊れていました」とローズ・グリフィン少佐(Maj. Rose Griffith)は言いました。


 とても長い記事なのですが、とりとめのないレポートであり、それは書くべきことが少ないことを示しています。記事の中で喜ばしいのは、大麻の生産量が減ったことくらいです。この程度の成果しかなく、去年の10月に終わっているはずのカンダハル戦は未だに終結の見通しがついていないことを考えると、アメリカのアフガン戦略は大幅に遅れていて、目的を達成できるかどうかは不明だと言わざるを得ません。

 タリバンを鎮圧したといわれるマルジャがこのレベルです。カンダハル戦は推して知るべしということです。それでも、アメリカは成果があったと宣言して、アフガンから名誉の撤退をするしかないわけです。



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