カダフィ政権の包囲は間近か?

2011.2.24


 military.comがリビア動乱の詳細を報じています。長い記事なので、気になるところだけを取り上げました。

 ベンガジを空爆するよう命令を受けた2人のリビア空軍パイロットは爆撃を避け、スホーイ戦闘機を砂漠に墜落させて、自分たちはパラシュートで脱出したと、ウェブサイト「Quryna」は匿名の空軍将校の言を引用して報じました。パイロットの1人はアリ・オマル・カダフィ(Ali Omar Gadhafi)で、カダフィ族のガダデファ(the Gadhadhfa)出身だと、パイロットと主要な石油出荷港ブレカ(Breqa)郊外の砂漠に墜落したジェット機の機体を目撃した住民は言いました。

 反政府勢力は手中に収めた西半分で最も大きな都市、トリポリから120マイル(200km)にあるミスラタ(Misrata)を支配したと言いました。過去2日間に衝突が首都の西、サブラタ(Sabratha)で起こりました。そこでは陸軍と民兵が治安司令部や政府ビルを掌握した抗議者たちを鎮圧しようとしていたと、政府に近いニュースサイトが報じました。

 抗議者とつながる知識人、裁判官、医師、ジャーナリストら60人のグループは、ポスト・カダフィ時代の要求リストを作成し、暫定政府を立ち上げ、憲法を起草するために各地域の代表者による国民議会を要求します。

 抗議者たちは、エジプト国境から1,000マイルの地中海沿岸の東半分の町と市を掌握したと主張しました。エジプト国境では警備兵が逃げ、部族長たちは後を治めるために地域委員会を作りました。今は民間人の服を着たある兵士は、抗議の初期に、一部の指揮官は兵士に抗議者たちを撃つように命じましたが、部族長たちが割り込み、止めるように命じたと言いました。「彼らはここの出身だったから、そうしました。それで将校たちは逃げました」。地元住民の防衛委員会は、カダフィのかつては高度に秘密が守られたトブルク郊外の対空ミサイル基地すら警護しています。

 抗議者たちはトリポリの東約480マイル(800km)にあるアダビヤ(Ajdabiya)につながるすべての道路を支配し、シドラ湾周辺の主要な油田に侵入したと主張しました。インターネットに投稿された音声による声明は、ミスラタの軍将校達は抗議者を全面的に支援すると宣言したと報じられました。

 リビアの抗議者達がフェースブックに投稿した新しいビデオは、トリポリの西30マイル(50km)にあるザウィヤ(Zawiya)にある建物の上に、大勢の反政府の抗議者達が旗を掲げているのを示しました。別のビデオは抗議者達が、首都の広場でセメントのブロックを並べ、タイヤを燃やすのを示しました。この場面は独自に確認できませんでした。

 西部のチュニジア国境から30マイル(50km)にあるズワラ(Zwara)は、地元軍が抗議者につき、警察が逃げた後で抗議者は支配を主張しました。

リビア全土(地図は右クリックで拡大できます)

  地図と記事は地名の表記が若干違いますが、対応させることができます。

 首都の西方にも反乱は広がっています。東西分裂よりは、カダフィの追放の方が可能性が高くなったと言えます。西部で唯一の天然ガスのパイプラインと2本しかないパイプラインの内1本がすでに反乱側に落ちています。これでは、すでにカダフィ大佐の命運は尽きています。ギリギリまで粘り、あとは航空機でトリポリを脱出するしか生き延びる手はありません。さもなくば、反乱側の手に落ちて生き恥をさらすか、潔く自ら自決して名を後世に残すかのどちらかしか選択肢はありません。

 また、カダフィ後の受け皿になりそうな人たちも現れ始めました。これで、この革命が単なる争乱に終わることはなくなったと考えます。エジプト型の革命になるのは間違いがありません。あとは、東西から首都に迫った人たちが手をつなぐのを待つだけです。

 それにしても動きが速く、個人レベルでの観察はほぼ追いつきませんね。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.