ソマリアの海賊が凶暴化
military.comによれば、ソマリアの海賊は組織的に人質を拷問し、人間の盾として利用していると欧州連合の海軍指揮官が言いました。
バスター・ハウズ少将(Maj. Gen. Buster Howes)は、海賊たちが最近、人質を逆さまに縛って海の中に入れて引きずったり、冷蔵庫に閉じ込めたり、殴打してプラスチックの紐を彼らの性器を縛るのに使ったと言いました。「組織的な拷問が常態的になった兆候があります」。海軍艦が乗っ取られた船に近づきすぎると、海賊たちは海軍艦が去るまで、海軍士官の目の前で人質をデッキの上で引きずり、彼らを殴打しようとします、と彼は言いました。「数年は、彼らは非常に抑制的で人質に敬意を持っていました」が今は「彼らはずっと素早く、ずっと多くの暴力を用いる意志を見せています」。ハウズ少将の報告は、人質の報告、海軍の諜報、商船会社との連絡に基づいています。
戦術の変化にはいくつかの理由があるようです。身代金が値上がりし、最初に船を襲い始めたソマリアの漁民たちは、より冷酷で組織だったギャングによって押し出されました。海軍艦が増えて、乗員がさらに準備を整えると、海賊は船を止めるためにより暴力を用いる必要が出ました。たとえば、船を携帯型ロケット弾(RPG)で攻撃したり、しばしば避難所、別名「城塞(citadel)」に自分たちを監禁する乗員を捕まえるためにより多くの暴力を用います。
強化されたドアの向こうに隠される「城塞」は、一般的に食糧や飲料水、双方向型の通信機、船のエンジンを制御する手段が提供されます。乗員たちは船が漂い、近くの海軍艦が到着するまで、そこで安全に待つことができます。ハウズ少将はここ数ヶ月で、海賊が乗り込み、乗員が城塞に閉じこもり、船を放棄しなければならなかった事件が21件あったと言いました。ある例では、船主が混乱した海賊に電話で、乗員たちは彼らは下の安全な部屋に隠れている間は休暇だと告げました。しかし、城塞を使う船が増えると、海賊たちはそれらを壊して開けようとするようになりました。彼らはRPGでドアを近距離から攻撃したり、プラスチック爆弾を使ったり、3隻の船は乗員がデッキの下に隠れる間に火をつけられました。先週、ドイツ船籍の「MV ベルガ・ノミネーション(MV Beluga Nomination)」が押収された時、乗員は3日間城塞に籠もり、助けを待ちました。最終的に、方法は不明ながら海賊は城塞を破り、乗員を処刑しました。他の2人のウクライナ人とフィリピン人は救命艇で脱出し、デンマークの海軍艦に救助されるまで洋上で2日間を過ごしました。乗員7人が現在、海賊の支配下にあり、2人が不明となっています。
海賊は他国は人質の生命を優先するという価値に気がついたために、より多くの暴力を使っているとハウズ少将は言いました。交渉は海賊がより高い身代金を要求すると長引き、乗員を拷問することは船主が早く支払うために圧力を与えるひとつの方法です。船と貨物だけでなく、人質が価値を持つという認識は、海賊が攻撃を行うために乗っ取られた船をより頻繁に使うことも意味します。クリスマス後の6日間、11隻の乗っ取られた船が母船として使われました。攻撃により大きい、捕獲した船を使うことは、海賊に多くの利点を与えます。それは小型のスキフで数週間を過ごすより快適で安全です。船はすでに捕らえた人質と一緒で、海軍艦が介入を嫌うようになり、無線機やレーダーのような船の装備品は新しい獲物を探すのに役立つことがあります。
しかし、海賊には問題もあります。それらはより追跡しやすく、近くの船が存在を通報することがあり、より多くの補給支援を必要とすると、ハウズ少将は言いました。いくつかの乗っ取られた船は燃料を使い切った後で放棄され、最近数週間に、海軍は乗っ取られた船から別の船に燃料を移し替えようとして失敗するのを目撃し、船に食糧と燃料を保持することは問題かも知れないことを示唆しました。ハウズ少将は、彼らの補給網がどう機能しているか、彼らが脆弱になる場所を知るために、海軍は停泊している母船を研究していると言いました。
貧乏な漁民が海賊になったというイメージは、すでに捨てた方がよいのかも知れません。
海賊が凶暴化したという事実は、我々の戦術をどう変えるべきかを示唆します。
避難所をより強化する必要があります。避難所の入り口の廊下をL字型にしてRPGで直接攻撃できないようにするべきかも知れません。あまりに近いとRPGを発砲する者にも被害が及びます。ドアを多層化することで、強力な爆薬による破壊を防ぐ必要もあります。 まだ、設置している船は少ないようですが、遠隔操作式の放水銃も有用です。食料庫のロックなども検討すべきかも知れません。もっとも、食糧は外からも持ち込めます。
私はソマリアの海賊の被害は、対応の足並みが揃っていないところに問題があると思っています。商船会社、各国の海軍が一貫した対策をとれないところに我々の弱点があります。先日、発表された気象データの活用もそうですが、こうした技術の海賊対策への統合が少なすぎると感じています。もし、それが実現すれば、少なくとも今のような被害は出ません。対策が講じられるようになってから、海賊の襲撃が未遂に終わることが増えました。対策を進めることで、大幅に被害は減らせるはずです。
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