ザウィヤ、4日目の攻撃でも陥落せず

2011.3.10


 BBCの記事を中心にしてリビア情勢を考えます。カダフィ軍のザウィヤ(Zawiya)への攻撃が中心です。

 カダフィ大佐はザウィヤを攻撃する一方で、エジプトに高官を、その他の特使をブリュッセル(ベルギーの首都)とポルトガルに派遣しました。

 反政府派の指導者、ムスタファ・アブドル・ジャリル(Mustafa Abdel Jalil)の捕獲に500,000ディナール(400,000ドル、250,000ユーロ)の懸賞金をつけました。

 ザウィヤは政府軍の対砲、戦車、狙撃兵により4日間の猛攻を受けてきました。水曜日に政府軍が中央部の広場を奪取しましたが、後に反政府派が奪還しました。イブラヒムという戦士は「戦車が見えます。戦車はどこにでもいます」「死者が沢山いますが、埋葬することすらできません」と言いました。街の医者は少なくとも戦闘で40人が死んだと言いました。

 ある住人は建物が崩壊し、人々が逃げようとしていたと言いました。

 国営放送は、政府軍がザウィヤを完全に支配し、住民が親カダフィのデモ行進を行う映像を示しました。

 リビア陸軍の大尉は「治安は約95%です。若干の路地と若干の家の中に若干のネズミがいます。我々はそれらを次々と捕まえているところです」と言いました。

 対立する主張は独自に確認することは困難です。

 ラス・ラナフ(Ras Lanuf)では、反政府軍が政府軍の砲撃と進行中の空爆に直面して撤退しました。

 巨大な爆発がラス・ラナフで水曜日の午後に起こり、黒煙が空にあがりました。

 さらに大きな爆発がシドラ(Sidra)の近くで起こり、石油のパイプラインが吹き飛ばされたと報じられ、政府側と反政府側が互いを非難しました。

 ジェン・アブドゥル・ラーマン・ビン・アリ・アル・サイード少佐(Maj Gen Abdul-Rahman bin Ali al-Sayyid)がカダフィ大佐のメッセージをアラブ連盟に送りました。

 イタリアのフランコ・フラッティーニ外務大臣(Foreign Minister Franco Frattini)はリビア政府がリビアに関する重要な会議の直前に、外交官と話すために特使をブリュッセルに送ったと言いました。

 ポルトガルの国営ニュース局は、リビアの特使がルーイ・アマド外務大臣(Foreign Minister Luis Amado)との会談のためにリスボンに到着する予定だと言いました。

 military.comによると、ワシントンはリビア上空に飛行禁止区域を設定する討議をしており、NATO軍はリビア上空に同軍の早期警戒機(AWACS)を10〜24時間飛行させることに同意しました。AWACSが米軍の航空機であるかどうかは不明です。

 また、military.comによれば、カダフィ大佐は飛行禁止区域を強要するなら、リビアは反撃するとテレビのインタビューで言いました。「アルカイダがリビアを手に入れれば、それは巨大な災難となるでしょう」「彼ら(アルカイダの戦士)がこの地を引き継げば、イスラエルを含むすべての地域が混沌の中に引きずり込まれるでしょう。そして、(アルカイダの指導者)ビンラディンはヨーロッパに対面する北アフリカのすべてをつかむかも知れません」と彼は言いました。


 反政府派カダフィ政権側共に、かなりの程度に手詰まり状態です。これでは早急に動乱を終わらせることはできません。

 アメリカはアフガニスタンからの撤退が遅れることを心配し、リビアに積極的に介入したくないのと、国連はロシアや中国の反対で安保理決議が出ないのです。飛行禁止区域の設定はすぐに行えないかも知れません。イラク侵攻のような無用な戦略にはすぐに承認が出たのに、必要な軍事行動を躊躇する。これが世の中の矛盾です。 兵器は極度に発達しましたが、肝心の人間の方は遅れたままです。いま国際社会がやるべきなのは、ザウィヤの陥落を防ぐことです。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.