福島原発事故:残されたチャンスは僅か
福島第1原発事故は何もかもが手遅れという印象です。自衛隊ヘリコプターから3号機に放水し、使用済み燃料プールへ注水するのは、現場の放射線レベルが高すぎて中止となりました。遂に警視庁機動隊の放水車を使って放水することになりました。
この放水車は消防車両を大きく凌ぐ12気圧で、4千リットルの水を100m近く水を飛ばせるということです。この放水車で、4号機の上部に放水するために、警視庁の機動隊員ら十数人が、自衛隊の防護服を借りて作業に当たるとのことです。しかし、100mという放水距離は多分、水平距離のことでしょう。放水を上に向ければもう少し距離は縮まります。さらに、自衛隊ヘリコプターが放射線レベルが高すぎて接近できなかったのに、100m以下まで原子炉に接近できるのかは疑問です。昨日公開された原子炉の写真は高台から撮影されています。Google Earthで見ると、4号機付近の高台は一番近くても160m位の距離にあり、高度は22m程度です。とても放水は届きません。だから、高台ではなく、近くの道路上から放水するしかありません。つまり、機動隊員は放水車をセットしたら、別の車両に飛び乗って逃げ帰るくらいしかできないのです。残る問題は放水地点の放射線レベルです。ヘリコプターが接近した距離でも危険なら、放水地点も危険でしょう。自衛隊の防護服で放射線を完全に防ぐことはできません。
スリーマイル島原発事故でもあったように、計器の値が信頼できなくなっている点に注目しなければなりません。東京電気は「バッテリーの出力が弱く、しっかり計器をコントロールできていない。現在動いている計器も、値にどれほど信頼性があるか分からない」と述べたと報じられています。ようやく、そうした疑問点に東京電力が正直に答えるようになったのです。信頼できるのは、各地に設置されたモニタリングポストによる放射線の数値くらいでしょう。この点で、枝野官房長官が東京電力の広報官と化し、いかにも事故を起こした原子炉が安全であるかのように装うのを手伝ったのは批判されるべきです。
残るチャンスは、外部からの電力供給です。現在、この作業を続けていることになっていますが詳細は不明です。うまく行けば緊急炉心冷却装置が回復し、効果的に原子炉を冷却できるようになるでしょう。危険な状態から抜け出られることになります。しかし、これもどこまで現場に接近する必要があるのか、そこでどれだけの時間を必要として、人間が耐えられる放射線レベルなのかを判断する情報は公開されていないので、実際に成功するかどうかは不明です。すでにほとんどの対策は失敗に終わっています。これが最後の有効な対処策です。
military.comによれば、在日米軍は福島原子力発電所から50マイル(約80km)離れるように命じられています。この距離は、日本が国民のために定めた12マイルの約4倍です。米国防総省広報官は、原発から80マイル(約128.7km)以内に行く任務に行く隊員に、甲状腺を被曝から守るヨウ化カリウムの錠剤を与えていると言いました。
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