放水の効果は限定的 危機は継続中
NHKが今朝7時30分頃に撮影した映像によれば、2号機、3号機、4号機から水蒸気らしい煙があがっているのが分かりました。依然として、燃料棒から発熱し、放射線が出ているのです。放射能は水蒸気に乗っても拡散します。
また、冷却は十分と報じられていたと記憶しますが、5号機と6号機の使用済み燃料プールの水温が上昇しています。冷却がなされていれば、こうなるはずはなく、またしても東京電力の発表に疑いが生まれました。この事故の結末がなんであれ、福島第1原発は完全に使えなくなったのであり、日本は6機の原子炉を短期間に失うことになります。
午前9時48分から、冷却水の不足を補充するために、3号機に水の投下を開始しました。3号機は放射線の問題がクリアできたようです。しかし、投下回数が4回なので、効果はほとんど期待できません。これは隊員の危険度が高い割には効果のない対策です。
実は、今日紹介した記事に、こんな記述がありました。
核災害と戦うために日本に提供された最大の直接的な支援は、近くの基地から消防車2台を渡したことでした。
読んだ時は意図がよく分からず、紹介はしませんでした。米軍の消防車で原子炉に防水するようなのです。これは多分、アメリカ製の消防車の方が水を遠くまで飛ばせ、より長時間現場に留まれるというためにとられた措置でしょう。国内報道では、この消防車には特殊な機能があり、東京電力が習得中と書いています。しかし「特殊な機能」が何であるのかが分かりませんでした。
16日の記者会見で北沢防衛大臣が次のように述べています。
その能力については、米軍の車両も貸与されております。ただそのオペレーションについて特殊な機能がありますので、東京電力がそれを修得して使用しようとしている段階であります。
明らかに、記事は北沢防衛大臣の発言の引用ですが、要するに東京電力の社員が放水のやり方を習っていると読むべきです。この消防車が対策に特に有益なのではありません。
本当に送電に成功すれば、冷却機能は戻ります。しかし、その後に操作を誤るなどで問題を起こすかも知れません。福島第1原発は、すでに正常に動いていません。計器の値はいつものようには信用できません。過去の事故例を見れば、そこに人為的ミスが起きる余地があります。
政府の立場で原発の安全を感じする経済産業省の原子力安全・保安院は、この事件でほとんど役に立っていません。彼らは東京電力の発表を追認し、権威付けをしただけで、いわば「お囃子」みたいなものです。今日の毎日新聞は、福島第1原発に通常7人いる保安検査官が17日までに、福島県庁に避難して一人もいないと報じています。なぜ現場へ戻り、事故に対処しないのか、なぜ安全・保安院は7人に戻るように命じないのか、到底理解できません。
菅直人総理は東京電力本社を訪れた際、「撤退はあり得ない」「腹を決めてください」と、いわば死守命令を出しました。この発言は、燃料棒が露出した時に、東京電力が全員の一時撤退を言い出したことに対する反応だったのかも知れません。確かに、現場の人間にすれば、今が命の捨て時です。自分が東京電気の社員なら、そう考えるしかないでしょう。
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