飛行禁止区域設定で、カダフィが停戦
military.comによれば、遅きに失しましたが、国連でリビア空域で人道支援を除くすべての飛行を禁じる決議がなされました。中国とロシアは決議を棄権し、あえて反対はしませんでした。
カダフィ大佐は現地時間17日を決定的な戦闘が行われる日としており、まさにギリギリの決断でした。決議が成立したら、次は行動です。気になる空母エンタープライズの位置ですが、 地中海にあると推定できます。
3月1日付けのデイリーメール紙によれば、エンタープライズはスエズ運河の入り口へ急行中らしいとのことで、同種の報道が他にもあります。
military.comによれば、ムアマール・カダフィ大佐(Moamer Gadhafi)は休戦を宣言して、空爆を回避しようとしています。
国連の承認を確保した後、イギリスとフランスがジェット戦闘機を発進させることになったので、カダフィ大佐はリビアを攻撃する者には誰にでも「地獄」が待っていると言いました。「世界が狂気に走るのなら、我々もそうするでしょう」「我々は反応し、彼らの命を地獄へ送るでしょう」。カダフィ大佐は理事会にはそのような決議をする権限はなく、我々はまったく認めないと言いました。「これは理事会が干渉することを認めた2ヶ国間の戦争ではありません」。木曜日に、リビアに対するいかなる軍事作戦も地中海の航空と海上の交通を危険にさらすという警告に続いて、カダフィ大佐はそうした行動は「地中海とヨーロッパに重大な結果」をもたらすと言いました。「地中海は荒廃します。航空と海上の交通は安全ではなくなります」。
飛行禁止区域に関与するのはイギリス、フランス、アメリカ、ノルウェー、カタールで、中国、ドイツ、ポーランド、オーストラリア、ロシアは行わないと言いました。フランス政府広報官フランソア・バロワン(Francois Baroin)が空襲が数時間以内に素早く行われると言いました。
ドイツは、決議によって予測される軍事介入の選択肢に極めて懐疑的なままでした。「我々はそれにかなりのリスクと危険があると理解します。それが決議のこの部分を承認できなかった理由です」と、グイード・ウェスターウェール外務大臣(Foreign Minister Guido Westerwelle)は声明で言いました。「ドイツの兵士はリビアへの軍事介入に参加しません」。
中国は「我々は国際的な関係における軍事力の使用に反対し、決議の内容の一部に重大な留保をします」と中国外務省広報官、チャン・ユー(Jiang Yu)は言いました。
stratfor.comは停戦決議に関する分析を報じ、この停戦は軍事介入を困難にする目的があると指摘しています。
このレポートは、カダフィ支持者であったイタリアがノルウェー、デンマーク、ベルギーと同じく、介入する航空機に対する補給活動を検討していると書いています。しかし、停戦を実施し、実情調査を行うために民間組織を招くということは、ヨーロッパが攻撃を正当化する理由を失わせます。ヨーロッパ諸国はNATO軍のアフガニスタンでの活動で疲弊しており、リビアへの干渉を支持するだけです。英仏が人権侵害を行っていることを証明したり、停戦発表を無視するのは困難です。
現段階では、エンタープライズは地中海上でリビアを攻撃できる位置についていると推定できます。アメリカは直ちに軍事作戦に加わらないと言っていますが、攻撃すべき場所を選定するなどの準備は進めているはずです。必要な軍事行動は、カダフィ大佐の居住区、カダフィ軍の参謀本部や通信施設など行動を統制する中枢部分、反政府派を攻撃するために集結している地上軍などです。
しかし、カダフィ大佐は停戦を宣言し、重大な人権侵害があるかを調べるために調査に来いと言いました。これは降参ではなく、捨て身の作戦です。国を二分してでも、自分の生きる場所を残そうということです。こうし知的な反撃も考えられるから、即時介入するのが得策なのであり、国連の決議は最悪のタイミングだったと言えます。この状態でも、ヨーロッパ側は空爆を実行するかも知れませんが、現在のところ、実施されていないようです。しかし、実施すればヨーロッパが逆上しているような印象を与え、その正当性を傷つけることになります。
なお、原発関連の記事は夕方更新できるかも知れません。昨日は使用済み燃料プールの話ばかりですが、肝心の原子炉は依然として危険なままです。報じられるところでは、原子炉内の水位は燃料棒の半分程度です。炉心が溶けることで、水蒸気爆発が起きる可能性は否定できません。電気の供給を回復できるかは一つのポイントですが、それですべてが解決するわけではありません。
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