リビア軍事介入に議会から反対の声
military.comによれば、議会の承認なしにリビアへの軍事攻撃を命じたバラク・オバマ大統領(President Barack Obama)の権限に対して批判が行われています。批判者は大統領候補だったオバマ氏の言葉を用いています。
2007年12月20日、ボストングローブ紙のインタビューで、オバマ氏は議会の承認なしにイランを攻撃するための大統領の憲法上の権限について尋ねられました。「大統領は、国家への現実または差し迫った脅威を阻止することに関しない状況で軍事的攻撃を一方的に承認する憲法上の権限を持っていません」とオバマ氏は4年前に言いました。「最高司令官として、大統領は合衆国を保護し、防衛する義務を持っています。自衛の場合、大統領は議会に勧告するか、その承認を求める前に、憲法の権限の中で行動するでしょう」。
議会への書簡で、オバマ大統領は「国連決議1973の下で承認された多国間の対応」の役割として米軍の関与を承認したと言いました。「私は、米国の外交関係を実行し、最高司令官としての私の憲法上の権限に従い、国家安全保障と合衆国の利益外交政策上のこれらの活動を指示しました」と彼は言いました。
戦争遂行決議の下で、大統領は議会の承認を得る前に、60〜90日の米国の行動を起こす権限があります。しかし、大統領は常に議会承認を求めてこず、その権限を巡り政府の2つの部署の緊張を作ってきました。
3月1日、リビア領域に飛行禁止区域を強制することを含め、リビア国民を攻撃から守るのに必要なさらなる措置をとるという国連決議を要請する拘束力のない決議を、上院が満場一致で採択しました。下院は同様の処置を取っていません。
上院軍事委員会の共和党の重鎮、ジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)は火曜日にCBSのインタビューで、国際的介入のないカダフィ大佐の包囲の中で恐るべき大虐殺があり得るので、リビアに対する軍事攻撃は必要だと言いました。
しかし、民主党のデニス・クシニッチ下院議員(Rep. Dennis Kucinich)は作戦に反対で、彼は次の予算採決にリビアの軍事活動に納税者の金を使うことを禁じる修正案を提出すると言いました。「我々はすでにイラクとアフガニスタンのでの戦争に大金を費やし、どちらも勝利のない泥沼に落ち込みました」「いま、大統領は我々にする余裕がない戦争に合衆国を突入させようとしています」。
下院軍事委員会のロスコー・バートレット下院議員(Rep. Roscoe Bartlett)は月曜日の声明の中で「合衆国は王様の軍隊を持っていません。オバマ大統領はリビアで米軍の力を使うと選んだ一方的な選択は我々の憲法への侮辱です」と言いました。
マケイン上院議員は元軍人ですが、目の前の戦争にはあまり的確な意見を言いません。オバマ大統領の決断に賛成でも、果たしてどんな考察の結果なのかという疑問があります。
クシニッチ下院議員の意見はまったくもっともな内容です。イラクとアフガンは米国の貴重な財源を無駄に使いました。それが完全に終わっていないのに、また新しい戦争をするのかという意見には一定の理解ができます。しかし、アメリカは常に敵を抱えている国でもあり、新しい戦争がどこかで起きてもそれほど不思議ではありません。そういう意味では、この意見は現状をやや無視している感じがします。
バートレット下院議員は完全に法律的な見地から意見を述べています。
米政府がリビア空爆をあまりやりたがっていないことは、これまでの経緯から分かっています。ロバート・ゲーツ国防長官は消極的でしたし、早くNATO軍に任せて、米軍を退かせたい意向が米政府から出ています。また、反政府派に肩入れする態度が強すぎれば、他の中東諸国政府との関係が悪化するのを米政府は恐れているようです。これは最悪のやり方です。それならば、なぜもっと早くに、強力に介入し、短期間で反政府派を勝たせるという手法を決められなかったのかと言えるからです。タイミングが遅く、惜しみながら戦力を使うのは最低の結果しか生みません。これはアメリカは身動きの遅い巨人であり、カダフィ大佐のように素早くは動けないということです。政府内であれこれと調整している内に好機を逃してしまうのです。
議会の承認なしにできる戦争には日数の制限があることは、リビア空爆では問題になり得ます。カダフィ大佐は、長期化することでアメリカが手をひくことを望むはずです。今後、そうした動きが表に見えてくるはずです。
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