地上部隊のリビア派遣はあるか?

2011.3.25


 military.comによれば、アナリストは米軍の特殊部隊がリビア内戦に参加する可能性があると指摘しています。

 第82空挺師団と第18空挺軍団指揮官だったダン・マクニール退役陸軍大将(Retired Gen. Dan McNeill)は、地上への進行がないというオバマ政権の主張を信頼すると言いましたが、アナリストは特殊部隊の使用は選択肢の中にあると言いました。

 彼らの使用は完全な進行と現在の空爆の妥協点を示し、武器と専門知識を提供することで反政府派兵士を支援するのを助けると、元空軍将校で、ノールカルフォルニア大学ととフェイエットヴィル州立大学の国際安全保障問題の教授、デビッド・グレイ(David Gray)は言いました。「それは否定できない選択肢です」とグレイは言いました。フォート・ブラッグ基地(Fort Bragg)は陸軍の特殊作戦軍と特殊部隊司令部、第3特殊部隊群の本拠地です。第3特殊部隊群はリビアを含むアフリカ軍で活動することに集中しています。

 ブルッキングス研究所(the Brookings Institution)の防衛政策専門家、マイケル・オハンロン(Michael O'Hanlon)は、特殊部隊の兵士は唯一、武器と訓練を反政府グループに提供する資格を与えられていると言いました。オハンロンとグレイは、従来の地上戦はありそうにないことに同意し、米軍当局者も繰り返しその可能性を重視しないとしています。「それは問題外ではありませんが、まずありそうにありません」とオハンロン氏は言いました。グレイ氏は、地上軍が関与するかどうかは、現在の空爆の最終的な目標に依存すると言いました。もし、米国、NATO、国連の指導者がリビアの指導者ムアマール・カダフィ(Moammar Gadhafi)を追放する決意ならば、兵士は必要になるかも知れないと、グレイ氏は言いました。「目的が何かです。それがカダフィの追放ならば、空軍作戦で十分でしょうか?。私は疑わしいと思います」「私はそれが十分なものになるという自信はなく、確信していません」。

 グレイ氏はリビアでの米軍の関与のレベルに驚いたと言いました。それは沖合から空爆と巡航ミサイルでカダフィの防衛網を爆撃し続けています。「それは私の予想以上でした」「私は関与を予想しませんでした」。さらなる関与が必要になるかについて、グレイはリビアで政府軍と戦う反政府派の戦闘能力に依存すると言いました。イラクとアフガニスタンで見られたものに似た部族の政治が一役を担うと彼は言いました。「様々な部族が忠誠を誓うのはどこか?。彼らは協力し合うことができますか?」とグレイは言いました。なんにせよ、カダフィを排除する努力はどのような軍の侵攻に慎重な国際社会によって妨げられるかも知れませんと彼は言いました。「目的が制空権を得るだけなら、すでに達成しました」「米軍の兵士が地上に置かれるでしょうか? 私は国際社会が兵士を地上に置く準備があるという確信はありません」。

 オハンロンは、地上軍が必要になる別のシナリオがあると思っています。彼はそれらには、反政府派が敗走し、国際社会が反政府派の街を守るのを助けるために地上部隊を押すという一例を含むと言いました。他には、兵士は平和維持軍の一部として必要になることだと、彼は言いました。「私はこれが起きると予測していません」「しかし可能性はあります」とオハンロンは言いました。

 マクニール退役大将は、地上軍が必要なら、フォート・ブラッグ基地は対応する準備と意志があると言いました。国際的な事件に素早く対応する訓練を受け、調整されているフォート・ブラッグ基地の兵士にとって、リビア派遣は小さな懸念だとマクニール大将は言いました。「彼らにとって目新しいものはありません」「家族の間に懸念はありますが、(兵士にとっては)それが彼らの人生なのだと私は信じます」。


 特殊部隊の投入はないのではないかと思われます。もちろん状況は流動的ですが、地上部隊を投入すると、作戦がうまく行かずに緊急的に引き揚げるような状況が起こり得ます。その際に兵士が敵に捕まるとか、殺害されて、さらし者にされたり、交渉の材料にされる恐れがあります。もちろん、航空作戦でも航空機が墜落してパイロットが捕まる可能性はありますが、地上作戦よりはその危険や規模が少ないと見積もられるのです。

 以前に紹介しましたが、イラク・アフガン戦で米軍の特殊部隊は疲弊しています。これ以上、さらなる戦いを抱え込むのは得策ではありません。

 反政府派に武器を渡し、使い方を説明するのに特殊部隊に最適なのは間違いありません。しかし、それより先にアラブ諸国が地上部隊をリビアに入れるという選択肢があるように思われます。

 ミスラタから東にはそれほど大きな都市はありません。ここまで空爆の力で反政府派を誘導することは可能でしょう。問題は、反政府派の拠点とミスラタがかなり離れていて、ミスラタは市街戦なしに陥落しないということです。少なくとも、ミスラタ陥落を成功させないとカダフィ追放は無理でしょう。ミスラタが反政府派の手に落ちれば、トリポリ攻略の足がかりができます。これは動乱の初期には成功する可能性を秘めていました。現段階から実行するのはかなり難しく、成功しても被害は少なくないでしょう。ミスラタが陥落するようなら、すでに政府側になったザウィヤの残存勢力を集めて再攻撃させ、カダフィ軍を両側から圧迫する形が作れるかも知れません。その時に、ザウィヤの反政府派を支援するのに特殊部隊を投入する可能性はありそうです。



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