リビア反政府派は前進したが

2011.3.28


 military.comによれば、カダフィ軍に対する空爆の支援を受け、反政府派は前進を始めましたが、動きは鈍いようです。

 東部の主要な石油輸出ターミナル、ブレガ(Brega)は土曜遅くに反乱軍が奪取し、街の西端に検問所を設けました。現在の最前線は30マイル(40km)離れた砂漠の小さな街アル・エギラ(al-Egila)です。ここは石油精製複合施設ラス・ラナフ(Ras Lanouf)への中間地点にあります。2つの石油複合施設はリビアの石油生産量の大半です。カダフィ政権は土曜日に、空襲が軍の撤退を強い、国際部隊が片側を選んだと批判しました。トリポリでカリド・カイム外務副大臣(Khaled Kaim)は「これは現在の連合軍の目標で、市民を守るためではなく、彼らはいま直接武装した部隊と戦っています」「彼らはこの国を内乱の淵へ押そうとしています」と言いました。

 反政府派の逆転は、バラク・オバマ大統領が両党の議員からの、彼が紛争へのアメリカの役割について彼らの投入を検討せず、アメリカの目標と出口戦略について明確に説明しないという不満に直面し、後押ししたことです。「我々は任務に成功しているところです」とオバマ大統領は土曜日にラジオとインターネットの演説で言いました。「間違えないでください。我々は素早く行動し、人道的な危機は避けられ、無数の市民、無辜の男性と女性、子供たちは守られたのです」。

 この空爆はカダフィ軍を麻痺させましたが、反政府派の前進もまた躓き、両者は鍵となる街で膠着状態です。米国防当局者は、砲撃ができるAC-130、ヘリコプターや無人攻撃機を含め、火力と空中からの偵察システムを増強することを検討しています。元リビアの駐米大使アリ・アウジャリ(Ali Aujali)はリビアを特有の状況だと呼びました。「何も行動がなければ、我々はスレブレニツァとルワンダのように記録されているアフリカにおける大虐殺があるでしょう」「それは正しいときの正しい行動でした」。

 別のmilitary.comの記事は、ビル・ゴートニー海軍中将(Vice Adm. Bill Gortney)が民間人の殺傷を防ぐために、制限的な交戦規定を採用したと言ったと報じています。

 「我々は市内では戦術航空機で(カダフィの)軍隊を攻撃していません」とゴートニー中将は言いました。ゴートニー中将はアダビヤ(Ajdabiya)、ミスラタ(Misurata)、ジンタ(Zintah)を、カダフィ軍が反政府派から支配権を奪うために戦っている場所として特定しました。彼らはカダフィ軍が撤退する兆候はないと言いました。


 前にも書いたように、東部から中部まではそれほど大きな都市はありません。アダビヤは少し大きな市街地がありますが、その他の街は本当に小さいのです。こうした場所で市街戦を展開するのは難しく、街にこだわれば包囲されるだけです。砂漠で戦い続けるのは無理ですから、すぐにシルト(Surt)くらいまでは進撃できなければ変です。ラス・ラナフは当然、反政府派が占拠できます。それができなければ、反政府派は明らかに戦力不足であり、武器などの提供が直ちに必要です。この戦いは、ミスラタが反政府派のものになるかどうかで態勢が決すると考えられます。よって、まだ喜ぶのは早いのです。気の早い欧米のマスコミの中には勝利と考えているところがありますが、現状は過渡的な段階にあります。

 ミスラタはかなり大きな街であり、ここでの戦闘は市街戦になります。そして、市街地では空爆を行いません。反政府派には支援火力がないわけです。空爆にできるのは、西方の街からカダフィ軍の増援が駆けつけるのを狙い撃ちして破壊することだけです。ミスラタから西側には大きな市街地が広がっています。カダフィ大佐を追放したければ、これだけの戦闘を間違いない戦術で成功させなければなりません。そのためには、ミスラタを攻撃の策源地として確立する必要があります。

 現在、空爆はNATO軍が中止となって行っており、地上戦闘は反政府派が行っています。両者がどのように作戦の摺り合わせをしているのかは不明です。反政府派がどんな方針で作戦を立てているかも不明です。できれば、この辺のことを知る情報が欲しいところです。



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