日本の原子力界は学級崩壊?

2011.3.30


 昨日、記事を書いた後で週刊文春3月31日号を読みました。予想以上にひどい東京電力の対応には怒りを通り越して呆れました。

 「水素爆発の可能性はあるけど、問題はありません」と官邸に説明した原子力安全委員長のセンスは最悪で、それは当然、菅総理を怒らせました。原発が爆発する映像は海外の専門家から衝撃的だという反応があり、日本株の大暴落を招き、それはアメリカ株にも波及しました。すべて工学の中でしか物事を考えない技術者の欠点といえます。

 14日に東京電力は現場からの撤退を官邸に通告、却下されても再度、社長命での撤退を出そうとしました。それは菅総理を激怒させ、「撤退はあり得ない。覚悟を決めて下さい」という、いわば死守命令を招きました。私は当初から菅総理の死守命令を擁護してきましたが、これは現在も変わりません。「うまく行かないから原発を放棄する」という東京電力は、いわば学級崩壊を起こしているとしか思えません。

 最も信じられないのは、現場に向かった電源車のコードが短くて原子炉に繋げなかったという低劣な話でした。あまりにも馬鹿げており、本当かどうかを疑うほどです。電源車を購入してから、各原発で一度も試用・訓練をしていなかったとすれば、これは怠慢以外の何者でもありません。単に「対策はあります」と言うためだけに、飾り物の電源車を買っただけだったことになります。

 3号機に向かった陸自化学防護隊の目の前で3号機が爆発し、車両が横倒しになったことも書かれています。考えてみたら、水素爆発の可能性が原発につきものなら、なぜ水素の濃度を測定する検査機が原子炉建屋内にないのかが疑問です。多分、水素測定機の設置を義務づける法律上の義務がないのでしょうね。

 この震災では、週刊誌は比較的優良な情報を報じたように思えます。しかし、週刊文春は石原慎太郎都知事に「菅民主党はまったく政府の役割を果たしていない」というタイトルの3ページを与えました。現在、都知事に立候補中の人に、ここまで便宜を与えるのは、メディアとして公正とは思えません。それに、「天罰」発言の言い訳や菅政権の批判ばかりで、石原都知事が今回の震災でやったことを少ししか書いていないので、ある意味で自分の首を絞めているようにも読めましたが。こんな大事に際して、政治家のパフォーマンスを国民は求めていません。



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