カダフィ軍の戦果は小さく、大佐訴追も

2011.3.4


 military.comがリビア情勢の続報を報じていますが、大きな変化はないようです。

 、リビア軍の軍用機が東部ブレガ(Brega)を爆撃しました。空襲の目標は特定されていませんが、大型石油施設に属する滑走路と見られます。

 アダビヤ(Ajdabiya)近くの町では、死体置き場当局者が戦いによる犠牲者数は木曜日、14人まで跳ね上がりました。水曜日には保健当局者は死者数を少なくとも10人としました。水曜日にブレガで政府軍を押し返した戦士の多くはアダビヤから来ました。

 リビア西方では、カダフィ軍が小さな町2ヶ所を取り戻しましたが、ザウィヤ(Zawiya)とミスラタ(Misrata)では撃退されました。

 military.comの別の記事によれば、ジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)が飛行禁止区域の設定に消極的なロバート・ゲーツ国防長官(Robert Gates)を批判しました。マケイン上院議員は木曜日に、飛行禁止区域は真剣に考慮されるべき選択肢の一つだと言いました。このコメントを支持して、ジョー・リバーマン上院議員(Sen. Joe Lieberman)は、アメリカの防空兵器を反政府派に提供し、使い方を訓練するのはもう1つの可能性だと言いました。

 BBCは国際刑事裁判所(the International Criminal Court)の主任検察官ルーイ・モレノ・オカンポ(Luis Moreno-Ocampo)が、ムアマール・カダフィ(Muammar Gaddafi)、彼の息子たち、側近を人道に対する犯罪で調査すると言ったと報じました。

 オカンポ検察官は「来週中に、検察はリビアで犯された最も重大犯罪の最も重大事件に最も責任があるのが誰かを調査します」と言いました。検察当局は人道に反する少なくとも9件の事件を確認しました。オカンポ検察官は「我々は航空機による民間人の爆撃は確認していません」と言いました。最も重大な主張は、2月15〜20日の間に、東部のベンガジで257人が政府に殺されたということです。別の26人がこの地域の別の町で殺されたとされます。ミスラタでは、14人が治安部隊に殺されたと言われます。不法監禁も調査中です。BBCの特派員は、カダフィを含む最大15人が訴追される可能性があると言いました。

BBCによる3月2日の状況

リビア全土(地図は右クリックで拡大できます)


 状況に大きな変化がなく、記事のごく一部だけを紹介しました。

 反政府派は集中的な攻撃ができないようで、まだ前線に兵士を輸送中なのかも知れません。カダフィ側も強力な反撃はできていません。こうなると、やはり内戦は長期化することになるかも知れません。反政府側はできるだけ早くに新政府を立ち上げ、既存の国家体制を変える必要があります。そうしないと、資金がない彼らには厳しい状況が待っています。そして、事態を一転するのは空爆に他なりません。

 ゲーツ国防長官やNATO軍は空爆に消極的です。フランスとイギリスが共同で空爆を検討しているようです。リバーマン上院議員が言う、防空兵器の供与と訓練は事態に与える影響が小さすぎます。ステルス機により、カダフィの自宅や軍事基地などを爆撃するだけでも、十分な意義があります。本格的な地上戦の支援を考えると航空支援は考えにくくなります。国際刑事裁判所の訴追の可能性も、カダフィを追い詰めています。ここで空爆を行うことは非常に重要です。できれば数日内に第一弾を行い、カダフィ側がどんな反応を示すのかを観察するべきです。



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