米軍がリビア空爆を継続

2011.4.15
追加 同日 14:22


 military.comによれば、NATO軍に指揮を委譲したあとも、米軍がリビア空爆を行い、過去10日間に全航空任務の35%をアメリカが行ったことを、米軍当局が示しました。

 これらの任務には、カダフィ軍の地対空ミサイル基地の攻撃、監視、燃料補給を含むと言いました。これは4月4日にNATO軍に指揮を移したあと、アメリカが空爆を続けていることを認めた最初の機会です。米当局者によれば、航空防御システムを探知・破壊するために、11機のジェット機がNATO軍に配属されています。

 これは、NATO軍から特別な要請があり、米国防総省指導者が承認した時だけ米軍のジェット機が空爆を行うと一貫して言ってきたことへの疑問を起こします。水曜日、国防総省広報官、デーブ・ラパン大佐(Col. Dave Lapan)は記者に、指揮権移譲後、NATO軍はそうした要請をしていないと言いました。しかし、ラパン大佐は、承認審査は空爆がカダフィ軍からリビア国民を守る場合にだけ適用していると言いました。

 ジェット戦闘機は、トラック搭載の地対空ミサイルランチャーのような防空システムの破壊のために、異なる任務で使われ、異なる指揮下にいます。F-16戦闘機が6機、電子戦機EA-18Gが5機、NATO軍に配属されています。4月4日、6日、7日に、米軍は移動式地対空ミサイルを含む目標を空爆しました。匿名の当局者は、4月4日以降、11機は134回の防空任務中、97回出撃したと言いました。イタリアその他の国も参加していますが、これらの任務はアメリカがやれる唯一の能力だと当局者は言いました。11機はイタリアを拠点にしています。

 なぜ最近の空爆を水曜日まで開示しなかったかについて、米国防高官は、飛行禁止区域を警戒する同盟の航空機を守るためにミサイル基地を狙っているので、軍がそれらを攻撃作戦とは考えず、防衛だと考えたからで、不誠実とは考えないと言いました。

 アメリカは、補給任務の77%、監視飛行の27%を行ないました。アメリカは、無人機プレデター2機、高々度無人機グローバルホーク、無線妨害・レーダー・通信・スパイ用の航空機を含む、給油機22機、偵察機13機を提供しています。


 記者は疑問視していますが、それでも任務の多くは、機体数や出撃数を見ても、後方支援が中心であることが理解されます。しかし、防衛的な任務だから、公表する必要はなかったという高官の発言は意味不明です。

 米軍はできるだけリビアには本格参戦したくないというのは当然です。しかし、それは適当に付き合っていればよいということを意味しません。逆に、その分は政治面などで余計に行動すべきです。声明を出すだけでは意味はありません。いまやるべきなのは、カダフィ大佐を現実にリビアから追い出すことです。

 しかし、アメリカもNATO軍も、リビアに関しては2003年のイラク侵攻時に見られたような真剣さは感じません。あの意味のない作戦を、あれだけ熱心にやれたのなら、リビア作戦はそれほど難しくはないはずです。しかし、信じられないほどの緩慢な動きを演じることしか、欧米諸国はできないようです。 私には彼らは力の使い方を間違っているとしか思えません。

 未だにミスラタにカダフィ軍の砲撃が行われています。自走砲やロケット砲を破壊し切れていないのです。車両が民間地域に隠され、攻撃時にだけ姿を現すのかも知れません。それなら、早急に対策を講じなければなりません。しかし、NATO軍は市民を守ることを主眼として、それ以上の介入を避けています。ミスラタは東部にある港から市街地までのエリアを反政府派が死守し、NATO軍が港から支援物資を投入するという形を作るべきだと思われるのですが、そうした現状があるとは聞いていません。できればミスラタ市内の空港も奪取し、たとえ対空砲の脅威で利用できないとしても、空路が使えるかも知れないという圧力を、カダフィに与えるべきです。イギリスとフランスは反政府派への武器提供をしない方針です。ベンガジの反政府派に資金を渡せば、彼らは自分たちで武器を調達するでしょう。問題はそれらはミスラタの反政府派に届かないということです。ミスラタでは、武器だけでなく食糧や医薬品も不足しています。これらの欠乏を埋めることでミスラタからカダフィ軍をできるだけ排除し、そこに東から進撃してくる反政府派が合流するという形を、できるだけ早くに確立するのが、カダフィ追放への道筋です。 しかし、作戦の狙いも、現状も、報道からはよく分からないというのが実状です。

 目的を欠いた軍事行動は失敗につながる可能性が高いことを忘れるべきではありません。



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