福島第1は「一定の不安定状態」
報道では常に「一定の安定状態」にあるとされる福島第1原発ですが、私は「一定の不安定状態」だと考えています。言葉の遊びをする気はありませんが、制御できない原子炉はすべて「不安定」です。
週刊現代4月23日号は、3月24日に東京電力が撮影した写真では、4号機の使用済み燃料プールの燃料を収めたラックの上部が見えているという、原発エンジニアのアーノルド・ガンダーセン氏のコメントを掲載しています。すると、東京電力は新しい写真を公開し、燃料棒が完全に水につかっていることを示しました。しかし、写真は水が沸騰し、高温のままであることを示しています。ガンダーセン氏は4号機の壁も壊れていることから、プールから水が漏れている可能性も指摘しました。これでは、注水が止まれば、再び発熱が再開され、放射線レベルも強くなります。
週刊ポスト4月22号は、週刊現代が「放射線」と「放射能」の意味を取り違えていると批判しながらも、チェルノブイリ事故のような事態は起こらないと、むしろ事態の沈静化に回っています。週刊ポストは「多くの『煽り報道』がいうような『核爆発』はまずない」と書いていますが、これ自体が誤認識です。第一に、私は核爆発のような事態が起きると書いた報道を眼にした記憶はありません。炉心溶融と核爆発はまったく別の現象です。核爆弾は核燃料よりも強いエネルギーを必要とするので、高密度にして爆発させます。核燃料は「燃やす」のに対して、核爆弾は「爆発させる」という違いがあります。チェルノブイリにしても、核爆弾級の爆発が起きたのなら、発電所がバラバラになっているはずです。そこまでならなくても、圧力容器か格納容器に一定の損傷があれば、高い放射線が放出される危険があるわけで、問題はそれが環境に及ぼす被害の程度なのです。
しかし、どの報道も3号機の水素爆発で格納容器が破損していないかという、私の疑問には答えていません。誰も懸念していないのでしょうか?。
放射線による健康被害は分からない部分も多く、原子爆弾と東海村臨界事故の被害者は症状が著しく違ったということもあります。放射線レベルが低くても、長期にわたって被曝した場合など、慎重に分析していく必要があります。
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