原子炉に窒素ガスを注入
深刻な事故が起きている福島第1原発の1号機の格納容器に水素爆発を防ぐための窒素を充填し、2号機と3号機に同じ措置をするとのことです。
これは最後に残っている「防壁」である格納容器と圧力容器を守るためです。燃料ペレットも防壁の一つとされますが、実際には放射線の発生源です。運転を停止しても放射線がすぐになくなるわけではなく、冷却できないことで原子炉の破壊を導き、さらなる放射線を大気中に放出しかねません。
事故の当初、東京電力や政府は、水素爆発は起こらないし、鋼鉄製の格納容器や、鉄筋コンクリート製の主隔壁は壊れないと自信を持ち、水蒸気の放出(ベント)をやりたがらなかったくらいです。それが危なくなってきたので、窒素を入れると言い出しました。
依然として原発は危険なままです。主隔壁は水素爆発ですでに損傷しているかも知れませんし、格納容器が壊れれば、発熱している燃料ペレットから出る放射線を防ぐのは鋼鉄製の圧力容器しかなくなります。その上で、圧力容器が壊れれば、チェルノブイリ型の事故と同じか、それ以上の災厄となります。
チェルノブイリ原発事故は、1基のみの事故でしたが、福島第1原発は4基の原発が暴走し、手当が必要な原子炉がさらに2基あります。一つでも大事故を起こし、付近への接近が困難、または不可能になったら、他の原子炉すべてへの手当ができなくなり、さらなる大事故を誘発しかねないのです。
東京電力や政府は窒素ガス注入を「予防措置」と呼んでいます。この表現は、事態の深刻さを隠しています。我々は崖っぷちにいると認識すべきです。放射能汚染だけが問題なのではありません。格納容器が破壊されたら、日経平均は再び暴落し、外国企業の日本離れも加速するでしょう。
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