反政府派がミスラタで前進

2011.5.10


 やっとリビア動乱に関して変化が報じられました。BBCによれば、カダフィ軍をミスラタ郊外から押し返しています。

 国連の人道支援担当事務次官、バレリー・アモス(Valerie Amos)責任者はリビアの人道支援を簡単にするために休戦を要請し、ミスラタの状況を悲惨だと描写しました。「我々の懸念の中心であるミスラタは、2ヶ月を越えて、街の一部で砲撃と戦闘が進行中です。備蓄物は利用可能ですが、一部の人たちは食料、飲料水、その他の基本的な物資が不足しています」。

 反政府派は、街はまだ包囲されているものの、トリポリに向けて30km前進したと言います。

 リビア国営メディアは、NATO軍の航空機が月曜日に、ミスラタと近郊のズリタン(Zlitan・kmzファイルはこちら)の軍と民間の目標を爆撃したと言いました。

 限定的な報告は、両者の主張は独自に確認されていないことを意味します。

 NATO軍は声明で、日曜日にミスラタ近くのロケットランチャーと砲、活動中の射手がいる建物を攻撃したと言いました。

 医療関係筋は、ミスラタの戦闘で少なくとも300人が殺されたと言います。

 反政府派広報官、レダ(Reda)は、戦闘は街の東西と空港に近い南方で起きていると言います。「反政府派は空港の西側を支配し、旅団(カダフィ軍のことと思われます)は南東端を保持しています」と彼は言い、最近のNATO軍の空襲に支援されていると言いました。

 AFP特派員は、反政府派はいま、首都に向けて、海岸線を細長く支配していると言いました。

 別の反政府派、モハメッド(Mohammed)は「我々はカダフィ軍をミスラタから追いやった」と言いました。彼は、過去数週間よりも、爆撃と射撃が少なくなったと言いました。「人々は安全な生活を取り戻しています。多くの家族は買い物のために外出しています。多くの家族は、動乱が始まる前に去った家に戻りつつあります」。モハメッドは、反政府派の士気は高く、「彼らは進み続けるのを望んでいます」。

 ベンガジにいる、BBCのアンドリュー・ハーディング(Andrew Harding)は、反政府派はズリタンに武器を持ち込もうとしており、住民が立ち上がるのを望んでいます。しかし、街はまだカダフィ軍に支配されていて、反政府派が目的を達成するのは難しいと言いました。


 既知の事柄や戦況に直接関わらない部分は省略しました。

 かなりいい感じになってきました。もう少し前進できれば、カダフィ軍のミスラタへ影響力はかなり弱まり、トリポリへの道が開けます。敵の攻撃が減っているのは、カダフィ軍に損害がある証拠で、これは、主に車両を狙っているNATO軍の空爆の成果が高いと推測します。自走砲やロケットランチャーの数が減れば、砲撃は確実に減り、反政府派に有利になります。

 この記事には、ベンガジ方面の戦況が書かれていません。ミスラタを包囲している部隊を駆逐できれは、東方戦線でのカダフィ軍の補給線を断ち切れ、当方戦線も片づいて、そこの反政府派をミスラタへ増援として回せます。そうなれば、カダフィ政権の命運も途絶えます。

 反政府派がズリタンに侵入しようとしているのと、NATO軍の空爆は連携した動きなのかが気になります。そうでなくては困ります。NATO軍と反政府派が軍事活動でどんな連携を取っているかは、まだ確たる報道がありませんが、そのように動いているはずです。

 ミスラタとズリタンの間には広大な農地があります。こうした射線が通りやすい場所では、反政府軍も装甲車両が欲しいところでしょう。農地の中の幹線道路から進撃するのではなく、もうひとつ南側の幹線道路とその付近の住宅地へ同時に進撃するのがよさそうですが、それに十分な戦力を反政府派が持っているかどうかが問題になります。そのためには、空港を奪取し、ミスラタ南部へ進撃することも必要になります。農地だけから進撃してもカダフィ軍を打ち倒せるなら問題はありません。しかし、あまりにも細長い戦線を築くのは、防衛上の問題から勧められません。手が回らないので、反政府派はズリタンの住民を蜂起させようとしているのです。反政府派とカダフィ軍の戦力に関する情報が欲しいところです。


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