カダフィ息子の殺害の余波
BBCによれば、カダフィ大佐の息子を殺したNATO軍の空襲のあとで、国連と一部の海外公使館は怒った群衆の標的となりました。国連は来週、リビアから退去する決定をなす見込みです。
トリポリの大使館が破壊されると、イギリスはリビア大使を追放しました。トリポリのBBCチームは、イギリス大使館は完全に焼け落ちたと言いました。
ミスラタ港では日曜日に、カダフィ軍が激しい砲撃を行いました。リビア国営テレビは、港はNATO軍が武器を武装勢力に届けるのを留めるために砲撃されたと言いましたが、反政府派は支援船が荷下ろしをしようとしていたと言いました。
イギリス外務大臣ウィリアム・ヘイグ(Foreign Secretary William Hague)は、リビア大使、オマール・ジェルバン(ambassador Omar Jelban)が国外に出るために24時間の猶予を与えられたと言いました。外交使節団を保護しないことで、カダフィ政権は再び国際的な責任と義務を破ったとヘイグ外務大臣は言いました。「外交使節への攻撃は、リビアの民間人を保護するという我々の決意を弱めません」。イタリア外務省は、自国の大使館への破壊行為を非難し、「深刻で恥ずべき」と評しました。
抗議はアメリカ大使館の外でもありました。国連当局者は、リビア政府が大使館への攻撃を謝罪し、暴徒を非難しました。
リビア国営テレビは、サイフ・アル・アラブ・カダフィと他の犠牲者の葬儀が月曜日に、礼拝の後に行われると言いました。
現場を見たBBCのクリスチャン・フレーザー記者(Christian Fraser)は、カダフィ大佐がそこにいたのなら、無傷で歩けたと想像するのは難しいと言いました。ロシアは、西欧がカダフィ大佐と彼の家族を目標にしなかったことに「重大な疑い」を表明しました。「リビア空襲は、目標としてムアマール・カダフィ大佐と彼の家族のメンバーを物理的に破壊するものではないという連合国の主張は重大な疑いを生じさせます」とロシア外務省の声明は言いました。
ベンガジではサイフ・アル・アラブ・カダフィが殺されたという報道に続いて、祝砲が放たれました。しかし、懐疑論もあります。暫定国家評議会のマムード・シャンマン(Mahmoud Shammam)は、アルジャジーラに「人々の同情を得ようとする策略」と思うと述べました。ミスラタの住民、カリド・アル・ウルファイ(Khaled al-Urfi)はAP通信に「カダフィは嘘つきだから、我々は真偽は分かりません。あなたが目の前に死体を置いてくれないと信じられません」と言いました。
私も死体か何か、明確な証拠が示されることが望ましいと思います。サイフ・アル・アラブを直接知るリビア以外の人物、たとえば留学先のドイツ人などが死体を確認し、本人に間違いないという証言をすることが望ましいのです。BBCの記事にあるビデオ映像には、キリスト教の司祭が死体を見る映像がありますが、顔を確認したかや、本人を知っているかは不明です。
しかし、普通は子供の死を偽装する親はおらず、同情を買うだけのために子供が今後表に出られないような形にするとは考えにくいので、死亡は本当だと考えます。ビデオ映像からは、建物が酷く破壊された様子が見え、むしろカダフィ大佐が無事だという方が疑問です。
この空爆で、NATO軍の介入の度合いは一気に国家間の戦争へと発展した感があります。先だっての大佐の拠点、バブ・アル・アジジヤへの空爆以来、NATO軍の戦略は一貫性を欠いているように思えます。もともと、ヨーロッパもアメリカも、リビア介入は消極的でした。そのために反政府派の前進を遅らせ、長期化しようとする段階で、急に国家元首の暗殺を試みているのです。これができるのなら、すぐに空爆を開始できたはずです。
欧米の第三世界における武力行使のやり方は、全面的に見直されるべきです。これまでのやり方は「金持ちクラブ」と「貧困クラブ」の対立を増加させるだけです。
また、先進国の軍隊は、国際法を守り、優れた戦略・作戦・戦術を用いることで模範的な戦争を行い、世界の戦争をできるだけ被害の少ない方向へ持っていく責任があります。国益しか考えない戦争は、世界を殺伐としたものに変えるだけです。言うまでもなく、戦争は避けるべきものですが、もし起きてしまったら、できるだけ被害を押さえるべきなのです。軍隊にできるのはそこまでで、最終的な平和の達成は外交や政治に任されます。戦って勝つだけではなく、「戦争を管理する」ことも軍隊の責任です。
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