リビア内戦終了後は国連へバトンタッチ
リビアに関する記事を3件紹介します。
military.comによれば、NATO軍のアンダース・フォー・ラスムッセン事務総長(Secretary-General Anders Fogh Rasmussen)は、同盟国はリビアの内戦が終われば、地上軍を置くことはなく、カダフィ大佐が追放されれば支援は国連が行うと言いました。
ラスムッセン事務総長はNATO加盟国、28ヶ国の国防大臣との会議とトリポリへの作戦中最大規模の爆撃の後で話しました。「カダフィについて、彼が追放されるかは問題ではなく、いつ追放されるかです」「それは数週間かかるかも、明日かもしれず、彼が追放される時に国際社会は準備を整えていなければなりません」「危機が終われば、NATO軍の主導を見ることはありません」「国連がカダフィ後、紛争後のシナリオで主導役を演じます」。
ラスムッセン事務総長はNATO諸国に軍事的努力に貢献させる努力は少ししかしていないように見えました。そのかわり、彼は「NATO諸国とパートナーたちは、作戦を続け、終わらせる必要な能力を提供することも含めて、我々の作戦に関与し続けると強調しました」と記者に話しました。しかし、同盟国の広報官、カルメン・ロメロ(Carmen Romero)は、会議はポジティブで、いくつかの国は「貢献を増加することを検討している」ことを示したと言いました。イギリス、フランス、アメリカは作戦で重労働をしています。イギリスとフランスは攻撃ヘリコプターを参加させ、アメリカはリビアのレーダー施設を攻撃し、約70%の空中給油を提供しています。
共同声明は連合国が「我々共通の努力へ追加の貢献を歓迎する」と言いました。イギリスのリアム・フォックス国防大臣(Defense Secretary Liam Fox)は会議の前に、彼はリビア作戦に「緊急に4分の1程度の増加」を確認したいと言いました。「イギリスは非常に前に出て主導しており、我々がカダフィ政権の残虐行為からリビアの人たちが安全だと確認することを望むのは明確です」「我々は今日、この点を奨励したいのです」。ドイツはこの任務に加わることを拒否しており、水曜日のその姿勢は変わりませんでした。ドイツのクリスチャン・シュミット(Christian Schmidt)は「我々は軍事行動に関して態度を変えません。我々は参加しないでしょう」と言いました。
NATO軍は火曜日に66回の空爆を行い、トリポリの指揮統制施設5ヶ所とほかの目標を攻撃したと言いました。強化された空襲はNATO軍がカダフィ軍から民間人を守るという国連決議に忠実なだけなのかという疑問を起こしました。ラスムッセン事務総長はそのままだと主張しました。ナポリにあるNATO軍のリビア作戦司令部のマイク・ブラッケン空軍中佐(Wing Commander Mike Bracken)は、AP通信に同盟国はカダフィ軍をさらに弱体化させようとして「トリポリに関して、ここ数日間でテンポを早めました」と言いました。しかし彼は「カダフィ個人は標的ではありませんし、そうしたくありません」と強調しました。
同盟国当局者は、トリポリにあるこれらのリビアの軍事・諜報の指揮統制センターを攻撃することは、カダフィ軍が指揮官から命令を受け取れなくなるので、民間人を守ることと「直接的な相互関係」にあると主張しました。匿名を希望する当局者は空爆は地上軍を「分離し混乱させた」と言いました。スウェーデン政府は水曜日に、同国のジェット機によるリビアの偵察任務を、6月22日に期限切れとなったあと3ヶ月延長すると発表しました。計画では、現在8機で参加しているスウェーデンのジェット機の5機が偵察任務を遂行し続けます。
military.comによれば、国際刑事裁判所の主任検察官、ルーイ・モレノ・オカンポ(Luis Moreno Ocampo)は、カダフィ大佐が内乱の間、女性の強姦を促進するためにバイアグラ型の薬をリビアの兵士に提供したかどうかを調査していると言いました。
オカンポ検察官は、強姦の証拠を集め、カダフィ大佐が兵器として強姦を用いて女性を罰することを決断したことがより確信されるようになり、それは恐怖を植え付け、大衆を支配するリビア内戦の新しい手法だと言いました。彼はダルフールに関する国連安保理事会後の記者会見で、何人かの目撃者がリビア政府が、政策を実行し、強姦の可能性を拡大するために、バイアグラ型の薬物のコンテナを買ったことを認めたと言いました。「我々は誰が関与したのかを調べようとしています」とオカンポ検察官は言いました。彼はリビアの強姦の使用がどれだけ広がってるかを知るのは難しいと言いました。「我々は重要な情報を得ています」「一部の地域で、我々は何百人かが強姦されたと知っています。我々にとってこの問題は、こうした強姦がカダフィ自身に起因すると言えるか、兵舎の中で起きたことかということです」。
2月26日に、安保理事会はリビア危機を国際刑事裁判所に依託すると満場一致で可決しました。5月16日、オカンポ検察官は裁判官にカダフィ大佐と彼の息子、サイフ・アル・イスラム・カダフィ(Seif al-Islam Gadhafi)と情報局長、アブドラ・アル・サノウシィ(Abdullah al-Sanoussi)に逮捕状を請求しました。裁判官は現在、証拠を評価していて、国際逮捕状を交付するかどうかを決めなければなりません。オカンポ検察官は強姦容疑を事件に加えるかもしれないと言いました。彼は、特にカダフィ支配下の地域での、紛争初期の異なる都市で民間人のデモンストレーションへの銃撃と、逮捕、拷問、強制的な失踪の2件に3人が関与していると言いました。しかし、彼は記者に、調査で尋問した目撃者は、なぜ裁判所が過去3ヶ月間の逮捕、拷問、失踪に絞っているのかと尋ねたと言いました。なぜなら「それは20年間にわたり起きていました…だから、我々はそれらのすべてを再調査して欲しい」。
military.comによれば、米議会上院の決議案もオバマ大統領にリビアに米軍の関与について、議会の同意を求め、その詳細な理由を提供するよう求めました。
ジム・ウェッブ上院議員(Sens. Jim Webb)とボブ・コーカー上院議員(Sens. Bob Corker)は水曜日に決議を提案し、先週金曜日に下院が3月19日にはじまるカダフィ軍への空襲を命じた時にオバマ大統領が議会の承認を得なかったことを非難する決議をしたのと同じく、フラストレーションを示しました。憲法は議会が戦争を宣言する権限があるとしており、1973年の戦争制限法は大統領が軍事活動を始めてから、先月期限を過ぎた60日以内に議会の承認を得るよう求めています。「我々にとってこの問題は大統領が…どの大統領であれ、アメリカ人の命を賭ける価値がある重要な国家安全保障上の利益の必要な基準に合致すると彼だけが定めた理由で軍事活動を一方的に始めて継続し、我々の納税者の金を何億ドルも費やすことができるかどうかということです」「この件では何が基準なのですか?」とウェブ上院議員は議会で述べました。
コーカー上院議員は米軍の最初の軍事活動から80日以上が過ぎたのに、「議会も米国民も政権が定めた任務やリビアでの軍事的関与の終盤について見通しが不明確なままです」と言いました。上院の決議は、オバマ大統領がリビアでの米軍の行動に対する「抗しがたい理由」を提供していないという下院の決議を反映しています。また、それは米軍人を救出することを除いて、リビアに地上軍を派遣しないことと、2週間以内に、任務の範囲、費用とイラクとアフガニスタンでの戦争への影響について20以上の質問に答えるよう求めています。
下院決議を上回り、この決議案はオバマ大統領は軍事活動を続けるために議会の承認を求めるべきだという上院の感覚を示しました。NATO軍が作戦を指揮しているものの、米軍は軍用機への空中給油、諜報、偵察監視で重要な役割を演じています。
コーカー上院議員は、来週、上院は決議を議論するでしょうが、数人の上院議員がアメリカの任務を強く支持しているので、見通しは不明確なままだと言いました。ジョン・ケリー上院議員(Sens. John Kerry)、ジョン・マケイン上院議員(Sens. John McCain)は先月、そうした評価を示しました。
ホワイトハウスは戦争制限法に従っており、決議は助けにならず、不必要だと言いました。最初に、ホワイトハウスは、それは様々なブリーフィングで提供済みだとして拘束力のない下院決議を払いのけました。しかし、水曜日に2週間の期限以内に、リビアでの米軍の任務について詳細な質問に応じると言いました。下院決議は下院議長、ジョン・ベイナー(House Speaker John Boehner)が支持しました。「我々は彼が指定した期限以内に、その決議の質問に答えるでしょう」とホワイトハウス広報官、ジェイ・カーニー(Jay Carney)は言いました。最終期限は6月17日です。
どの国もあまりやる気がなく、NATO軍がソフトで美味しい餌をちらつかせて参加国を募っているような感じがします。カダフィ大佐の命運はほとんどつきかけているようですが、引導を渡す側も決断しかねている面があるのです。リビア作戦はあまり真面目にやらなくても完了できるかも知れませんが、それでは真剣さが足りないというものです。軍事作戦は常に危険なものであり、全神経を使う必要があります。
リビア作戦は国際法のギリギリのところで行われているのも確かです。民間人を守るという国連決議は、作戦のテンポを早めるとか「直接的な相互関係」といった言葉でほとんど無視できるのです。実質的に、作戦は反政府派への軍事支援となっており、民間軍事会社も参入しています。民主主義の援護としては、理想的な形にはなっていませんし、参加国は誰もそれを問題視しません。日本の政治家にも、そんな意識はなく、日本からNATO軍へ懸念を発信することもありません。米議会は議会としての筋を通そうとしていますが、形式的な批判に終わりそうです。戦争というものに対する世界全体の注意力が欠落しているのです。
こうした先進国の体たらくが、国民を兵士に強姦させるような、第三世界での悲惨な状況を生んでいるのだと言えます。コメントはここまでにしますが、これは多くの人たちに考えて欲しいことです。
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