ミスラタ反攻の続報は僅か

2011.6.11


 BBCがリビアのミスラタに対するカダフィ軍の反攻について続報を報じました。

 ミスラタにある病院の医師によれば、カダフィ軍によるミスラタ周辺への砲撃の再開は、約17人の死者、約60人の負傷者を生みました。カダフィ軍は一日中ミスラタを強打しました。目撃者はこの地域でNATO軍航空機の活動を見ませんでした。ミスラタのヒクマ病院(Hikma Hospital)の医師は、戦車、大砲、ロケットの焼夷弾が、ミスラタの西30kmにあるダフィニヤ(Dafniya・kmzファイルはこちら)の反政府派がいる場所を砲撃しました。ミスラタはNATO軍の空襲が3週間前に包囲を終わらせて、反政府派に突破させるまで、70日間包囲されました。カダフィ軍はこうした領土の獲得に対して反撃しました。彼らは北を除いたすべての側でミスラタを囲んでいます。

 ノルウェーはリビア作戦に貢献している戦闘機を6機から4機へ減らし、8月までには完全に撤退すると発表しました。ロバート・ゲーツ国防長官(Defence Secretary Robert Gates)は、今月末の引退を前にした最後の主要な演説で、一部のNATO軍加盟国を非難しました。リビアとアフガニスタンの軍事行動は、一部の加盟国の軍事的能力と政治的意志に関して欠点を露出させたと言いました。

 強姦事件について触れた部分は目新しいことがないので省略します。


 驚くほど情報は少なく、戦況を掌握するのには不十分です。病院の医師のコメントしか載っていないのは理由が分かりません。反政府派広報官のコメントが得られないのなら、そう書いてあるはずですが、コメントを求めたのかどうかすら明らかではありません。ダフィニヤが最も西の最前線なのかは不明です。砲撃の後に地上部隊の侵攻があったのかも分かりません。包囲しているカダフィ軍の規模も、反政府派が獲得した領域を失ったかどうかも不明です。

 しかし逆に考えると、これだけの内容しかない攻撃だったのかもしれません。それは反撃としては弱すぎます。ようやく味方をかき集めて攻勢に出ただけのように見えます。この攻勢はカダフィ軍の優勢を示すものではないように思えます。

 こうした砲撃を防ぐには地上軍の投入しかありません。対砲兵レーダーを装備する砲兵隊で、砲撃に対して即時に撃ち返すのです。もし、反政府派に砲兵隊を組織する能力があるのなら、好ましくありませんが、民間軍事会社に対砲兵レーダーを操作させるしかありません。彼らに攻撃すべき座標を調べさせ、あとは反政府派が砲撃を行うのです。



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