リビア:反政府側で民間軍事会社が活動中

2011.6.2


 military.comによれば、元イギリス軍特殊部隊の兵士と西欧の民間警備会社がリビアでNATO軍の目標を観測するのを支援していると「The Guardian newspaper」が報じました。

 アラブ諸国、特にカタールから資金を提供されるとされる空軍特殊空挺部隊(The Special Air Service)の退役軍人が、ミスラタ(Misrata)市内と周辺にいます。彼らはカダフィ軍の位置と移動をイタリアのナポリにあるNATO軍のカナダ人指揮官、チャールズ・ブーシャード中将(Lt. Gen. Charles Bouchard)に流しています。イギリス、フランス、その他のNATO諸国の承認を得て、彼らは無線機を供給されてリビアにいます。彼らの中にアメリカ人がいるかどうかは不明です。ホワイトハウスと米国防総省は即時にコメントしませんでした。彼らは、今週ミスラタ周辺で攻撃を始めるイギリスとフランスの攻撃ヘリコプターのパイロットに情報を提供するとみられます。

 リビア水域に接近しているイギリス軍の強襲揚陸艦オーシャン(HMS Ocean)にアパッチ攻撃ヘリコプターAH-64が4機、フランス軍の強襲揚陸ヘリコプター空母トネール(Tonnerre)にはタイガー攻撃ヘリコプター(Tiger)が12機搭載されています。

 アルジャジーラは月曜日に、ミスラタの近くで反政府派と共に活動するイギリス人とみられる6人の武装した西欧人兵士の映像を報じました。彼らはテレビカメラを見つけると、慌てて去りました。(下がその映像)


 当初、カダフィ軍が民間軍事会社を使っていたわけですが、今度は反政府側に民間軍事会社の西欧人警備員がいるという訳です。これこそ、前から私が気にしていたことです。空爆などの攻撃を支援する要員を現地に配備することが、反政府派の攻撃を強化します。

 しかし、私は正規兵の派遣を想定しましたが、なぜか民間軍事会社が出てきました。これは地上軍を派遣しないというNATO諸国の方針と、地上で犠牲者を出して国内で批判を浴びたくないという各国の思惑から来た選択でしょう。私はこれを好ましいことではないと考えます。恐らく、彼らは自衛の場合以外は攻撃を行わず、空爆や攻撃ヘリコプターの誘導に専念するものと思われます。

 それでも、この記事はNATO軍が地上に観測員を置き、空爆や攻撃ヘリコプターを支援しようとする意思の表れで、やる気を感じさせます。

 さらに、NATO軍が90日間の作戦継続を決議しました(記事はこちら)。5月28日の記事で、私はリビア内乱は2〜3ヶ月間で終わると書きましたが、NATO軍も数ヶ月程度の見通しであることが分かります。



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