NATO軍が誤爆を認めるも反政府派は資金難

2011.6.20


 BBCによれば、NATO軍はリビア政府が主張する住宅への誤爆を認めました。

 NATO軍は目標はミサイル基地でしたが1発の武器が命中しなかったと言いました。リビア政府は2人の赤ん坊を含む9人が死亡し、18人が負傷したと発表しましたが、BBCはこの主張を独自に確認できていません。

 日曜日の夕方、ユニファイド・プロテクター作戦(operation Unified Protector)の指揮官、チャールズ・ブーシャード中将(Lt Gen Charles Bouchard)は「NATO軍は罪なき民間人の損失を遺憾に思い、リビア国民に対して暴力を行使しようとしている政権に対する攻撃に強い注意を払います」「我々はまだこの事件の詳細を結論していませんが、兵器システムの故障が事件を起こしたと考えています」と言いました。

 この事件は、木曜日にブレガの精油所近くでNATO軍が反政府派の戦列を間違って空爆したことで、NATO軍が遺憾を表明した直後に起こりました。反政府派広報官は、誤りを認めたことはNATO軍の信頼に重要なことだと言いました。

 一方、気になることが同じ記事に書かれています。反政府派の資金が尽きたというのです。

 日曜日に反政府派の暫定国家評議会の高官が、緊急に外国の財政援助を要請しました。西欧とアラブの支援国は援助の約束をしたにも関わらず、反政府派は未だに金を受け取っていません。彼らは今後半年分の給料とその他の用途として30億ドル以上を必要とすると考えています。目下、暫定国家評議会は給料とその他の費用を、リビア中央銀行のベンガジ支店に残された金で支払っています。しかし今、それらの財源が空になったと、反政府派の戦略顧問、シャムスディン・アブドゥル・ムラー(Shamsuddin Abdul Mullah)は言いました。アブドゥル・ムラー氏は、遅延が一時的であると期待していますが、徐々に弁明は難しくなり始めていると言いました。現金は前線で使う医療品を買うためと、益々ひどくなる状況への国民の不満を避けるために至急必要だと、彼は付け加えました。


 ユニファイド・プロテクター作戦は、当初はリビアの洋上封鎖のための作戦で、飛行禁止区域を設けるオデッセイの夜明け作戦終了後は、リビアへの武力介入全体を指す言葉となっています。

 誤爆は残念なことですが、空襲の実施回数に比べると、誤爆の回数はイラン・アフガニスタン戦に比べると、極めて少ないと言えます。死傷者の数も、リビア政府の数字を信用してよいでしょう。BBCは確認できないと言っていますが、現場と病院で死体と負傷者を目撃し、カメラで撮影しています。それらが本当に空襲による死者や負傷者であるかを、現段階ではすべて確認できていないと言っているだけで、疑っているわけではありません。

 それにしても、国際社会の腰砕けには呆れます。支援は早期に十分な量が必要です。この辺の戦争に対する見識のなさが、現代の無用な戦争の長期化を招いているように思います。この緊急声明で資金はすぐに送られると思いますが、何のために調整官を置いているのかが不明です。今後のためにも、多国籍での軍事作戦には、さらなる効率化が必要です。こうした切磋琢磨がいつの日か世界の統一を招致させるのだと期待したいところですが、現状はあまりにも低劣です。



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