アフガン撤退発表に賛否両論

2011.6.24


 military.comによれば、マイク・マレン大将(Navy Adm. Mike Mullen)は木曜日に、来年夏までに最高33,000人をアフガニスタンから撤退させるというバラク・オバマ大統領の決定はより危険が高いものの、米国と同盟国をアフガンの安定に向け続けると言いました。

 別々の議会の委員会で、マレン大将とヒラリー・クリントン国務長官(Secretary of State Hillary Rodham Clinton)は、オバマ大統領が、彼の将軍たちが推奨したよりも早い速度でアフガンでの米軍の関与を縮小する道を選んだという疑いはないと言いました。「大統領の決定はより攻撃的で、私が元々受け入れるように推奨したよりも多くの危険を招きます」「より多くの部隊と、より多くの時間は、疑いなく、より安全なコースです」「しかし、それは最善のコースを必ずもたらすものではありません。大統領だけが我々が冒すリスクの許容レベルを最後に本当に決定できるのです。わたしは彼がそれをなしたと思っています」。

 オバマ大統領は水曜日の夜に、アメリカと同盟国はこの夏に兵力縮小に値するものを十分に成し遂げたと言いました。今年末までに10,000人、次の夏の終わりまでに23,000人が帰国すると言いました。

 上院外交委員会で、クリントン国務長官は郡がより多くの部隊が、より長い期間残ることを望んだと暗に認めました。「私は軍指揮官ができるだけ長く多くの兵を望むのは無理もないと考えます」「しかし、専門知識と経験がある軍指揮官なら、ペトラエス大将も彼が望むのは全体的な決定の基盤の一部であり、その他の要素が機能することであると知っています」「だから、結局のところ、私は大統領が正しい決断をしたと考えます」。

 ペトラエス大将はオバマ大統領の計画について公的にコメントしませんでした。彼は木曜日にCIA長官に指名される公聴会で証言する予定です。

 民主党議員は撤退が遅すぎると言い、共和党議員は早すぎると言いました。「米軍の縮小が大統領が説明するよりも早くに起きることは議会と国中の多くの希望で、我々はより早い結果を出すよう圧力をかけ続けます」と下院少数党院内総務ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)は言いました。下院議長ジョン・ベイナー(House Speaker John Boehner)は、オバマ大統領にアメリカがアフガンで成し遂げた物を犠牲にしないように警告し、ジョン・マケイン(Sen. John McCain)は縮小は性急すぎると言いました。「これは私が望み、主張した適度の撤退ではありません」とマケイン議員は述べました。

 来週退任するロバート・ゲーツ国防長官(Defense Secretary Robert Gates)は水曜日夜の声明の中で、「我々の指揮官に十分な資源、時間、さらに恐らくもっと重要な増派が成功した結末をもたらすための柔軟性を提供する」として、大統領の決定を支持すると言いました。

 記事の残りは省略します。

 military.comによれば、クリントン国務長官は、タリバンに手を差し伸べるのは不愉快ではあるものの、アフガンを安定させ、治安をもたらすには必要だと言いました。クリントン国務長官は木曜日に上院外交委員会で、社会の分裂した要素との和平なしにアフガンで本当の平和は達成できないと言いました。彼女は米当局者がタリバンのメンバーと「非常に予備的な」接触を行っていると言いました。しかし彼女は、ワシントンは、アルカイダとのつながりを断つ意志がなく、女性と少数部族の権利を尊重する用意を含めて、アフガン憲法を支持しない過激主義者とは取引をしないだろうと言いました。クリントンは、歴史は軍事的圧力と交渉の組み合わせなしに武装勢力を打ち破るのがほとんど不可能であることを示すと言いました。


 側近たちはオバマ大統領の決定に乗り気ではないのが本音のようです。しかし、これは誤りとは言えないと私は考えます。

 マレン大将が提唱したのは、現場指揮官の意見を聞いた上でまとめた最善策です。これは常に余裕をもって検討されるもので、ギリギリのレベルではありません。米軍もそのことは理解しています。こうしたことは、政治レベルで何らかの増減があるもので、それを見込んで勧告するのです。オバマ大統領はそれを少し削り、軍に圧力をかけているのです。これは軍がダラダラと撤退を引き延ばすことを心配しているためでしょう。大統領は軍を信頼しないわけではないでしょうが、最後に起死回生を狙って余計なことをして欲しくないのでしょう。

 クリントン国務長官のタリバンとの交渉に関する発言は、タリバンの核になる者たちとの和平ではなく、末端の兵士をアフガン政府に寝返られる政策をとっているという意味でしょう。もし、タリバンを離脱する者が十分多くなれば、本来のタリバンの戦力は減少することになります。軍や警察よりもタリバンの待遇がよければ、寝返った兵士が再びタリバンへ戻ってしまいます。この面倒な綱引きが進行中ということです。前に指摘したように、タリバンのような極端な教義を持つ団体と、西欧の政府は相容れず、政治的に足並みをそろえることは不可能なのです。



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