米軍家族の避難費用はいかほど?
日本の軍事メディアを眺めても、あまり見ることのない数字をmilitary.comが報じました。元記事は「Stars and Stripes」です。3月11日の東日本大震災の後で、一時的に日本を離れて非難する米軍人の家族のために使われた航空機のチャーター料金は1,170万ドル(今日の為替レートでは約9億4,700万円)でした。
この数字は東京の近くと北日本の米軍基地からの軍がチャーターした飛行の料金だけを含みます。自発的な退去の提供を受け、アメリカの街へと逃げた10,000人近い扶養家族に支払われた旅費や日当は含まれません。
太平洋軍司令部(PACOM)は「Stars and Stripes」の要請に応えて、以下の情報を提供しました。
商業的な航空路で日本を去った人たちの費用は含まれません。宿、食事、その他の出費のための費用は、避難プログラムの総費用を大幅に上昇させそうです。しかし、追加の旅費はその地域の個々のサービスで計算されるので、PACOMが提供することはありません。津波で損傷を受けた福島第一原発が炉心溶融の兆候を示し、在日米軍基地の至るところに核放射線が拡散する恐れがあったため、国防総省は3月中旬に配偶者と子供たちに避難の費用を支払いました。恐れた親と子供たちはスーツケースを詰め、軍が急いでチャーターしたアメリカ行きのフライトのため、横田空軍基地、三沢空軍基地と厚木海軍航空基地に列を作りました。
軍がチャーターした飛行の平均費用は、9,720人の扶養家族一人あたり1,200ドルでした。在日米軍が「Stars and Stripes」に先月公表したデータによると、その他の人たちは民間航空会社でフィリピンやその他の国の米領域へ逃げました。すべての避難旅行は宿泊費と食事のような給付金、日給と1日25ドルの家族出張手当を含みました。こうした恩典の総額は家族が避難した場所とお金の使い方によって決まります。たとえば、ノースダコタ州グランド・フォークス(Grand Forks)に行った母親と十代の若者、12歳未満の子供は一月に最大9,795ドルを受給しますが、ホノルル(Honolulu)に行った同じ家族は一月に最大21,975ドルを受給する資格があります。
在日米軍のデータは、ほとんどの避難者は一部の在日米軍コミュニティが疑うように、ハワイのような金のかかる場所への「有給休暇」を選びませんでしたが、そのかわりに軍の人口が多い街や国に点在する沢山の小さな町に行ったことを示します。ハワイに避難したのは160人だけで、フロリダ州のオーランド(Orlando)に行ったのは60人でした。最も人気があったのはサンディエゴ(San Diego)で、700人が避難しました。
米軍家族で希望する者が避難しているという話は過去に紹介しました(過去の記事はこちら)。その経済上の結果がこの記事です。
この避難は軍事行動の一環です。万一、朝鮮半島で有事が起きた場合、同じような方法で彼らは避難するのです。それがどんな風に起きるのかを知る上で、この記事は参考になります。
それにしても充実した計画なのには驚きます。不便がないように費用も負担するので、給料の他に臨時収入が発生する仕組みです。短期間の避難のための宿泊費用や食費を支払っても、おつりが来そうです。
また、アメリカは3月中旬までには福島第1原発が炉心溶融していると判断し、この方策を取ったことも分かります。私は3月11日の夜には炉心溶融の危険を予測し、12日の記事でそう書きました。しかし、東京電力や日本政府は頑として事態を認めようとしませんでした。普段、日本では偽物の危機ばかりが吹聴されるものだから、本物の危機に適切に対処できないのです。アメリカが強く事態に干渉してきたのは、こういう訳だったのです。日本政府は周辺住民を急いで避難させたものだから、ろくな準備もできずに逃げるしかありませんでした。家畜やペットは置き去りになり、家財道具も持ち出せませんでした。つまり、政府は普段から逃げ方を考え、制度を作っておけということです。
Google Earthで避難先の街の様子を調べてみてください。サンディエゴには巨大な軍事基地があることが分かります。このように大きな基地がある場所は生活環境も充実しているので、避難先に選ばれやすいのです。私は韓国やグアムを避難先に想像していましたが、多くないようです。どうせ軍が費用を持つのなら本国まで戻りたいと考えるのは自然なことかもしれません。
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