カダフィ大佐に向けられた圧力

2011.7.14


 military.comによれば、アメリカの諜報活動報告は、リビアのカダフィ大佐への圧力が高まっていることを示しています。

 米政府当局者は3つの鍵となる指標をあげました。「燃料補給の減少」「財政難」「政府軍の士気低下」。

 一方、反政府派は彼ら自身の補給問題に直面しています。彼らはナフサ山脈のナルト(Nalut・kmzファイルはこちら)からキクラ(Kikla・kmzファイルはこちら)までの町を確保し、アル・ザウィヤ(al-Zawiya・kmzファイルはこちら)の主要な製油所に供給する鍵となる原油パイプラインを遮断しました。米当局者は、燃料不足が1ヶ月以内に起きるという米諜報部の見積もりをあげました。

 トルコにあるリビアの銀行にある何億ものリビアの資金へのアクセスをトルコ政府が7月4日に止めた後、カダフィは財政難にも直面しています。当局者は匿名を条件に話しました。現金を引き出せない間、カダフィ大佐は石油輸入業者を含む債務者に支払の信用状を交付していました。

 フランスが主張するカダフィ大佐の特使について、米国務省は、ワシントンも訪問者を得ていると言いました。「我々は、なんとかして西欧で多くの人たちに接触しようとしている、カダフィの代理だという人たちを沢山得ています」と国務省広報官、ビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)は言いました。「しかし、メッセージは相反しています」と彼女は言い、「カダフィが退陣する時だと理解する用意ができている」という明確なメッセージは未だにないと付け加えました。

 諜報レポートを説明した米当局者は、カダフィが出国を検討していることを確認できませんでしたが、同政権に対する圧力をあげました。米当局者は、捕虜になったり、脱走した兵士によれば、カダフィ軍の兵士の士気は低いと言いました。指揮官たちは軍の質に満足しておらず、戦場で大きな成果をあげていないと当局者は言いました。

 一方で、反政府派は領域を維持するのに忙殺され、保持する領域を統治するのに僅かな仕事をすることで手一杯だと、当局者は言いました。

 トリポリで、リビア当局者は反政府派が支配する国土の東半分は、砂漠から水をくみ上げる施設のメンテナンスを可能にするために休戦しないことには、飲料水の補給が遮断されかねないと言いました。国の約70%は南部の砂漠深くから帯水層から組み上げた水に頼っており、東部の施設は壊滅していると農業大臣は言いました。しかし、ベンガジで、人口河川計画のマネージャ、アブデル・ラゼク・アル・ズリトニ(Abdel Razek al-Zlitni)は東部では水供給の問題はないと言いました。「リビア東部に水を供給する第1のゾーンは良好で、完全に機能しています」と彼は言いました。しかし、西部の包囲された地域で、水の問題があるかは不明だとも言いました。


 記事で既知の部分は省略しました。

 この米当局者の話は妥当な内容で、現在の軍事作戦と政治的状況から当然起きることを説明しています。反政府派には補給物資が届くのに対して、カダフィ派はほとんど何も補給されない訳です。そろそろ、限界が来ておかしくない時期です。燃料切れが1ヶ月で起きるという予測は非常に重要な数字です。リビアのような地域で、車両なしに戦争をするのは不可能です。カダフィ軍の動きが鈍いのは、やはり燃料不足のためだったと言えます。この状態なら、反政府派に強力な支援を行うことで、戦況を一変させられます。事実、ナフサ山脈ではそうなりました。

 勝つ見込みがなくなると、カダフィ軍内部にカダフィを裏切り、戦いを終結させようという者が出てきます。カダフィ大佐にすれば、そうした裏切りに遭って、国際刑事裁判所に身柄を引き渡されることが一番恐いのです。それよりは、身柄を保証してくれるアフリカ連合諸国に亡命したいと考えるはずです。そろそろ、そういう時期が来る頃なのです。このように、一端、戦争を始めたら、相手が根を上げるまで締め上げるのが重要なことであり、それが確保されるまでは、決して妥協してはいけないのです。

 カダフィ大佐の代理人が沢山いるのは、多分、それらが感触を得たり、有利な交渉相手を探すための特使であり、近く正式に選ばれた者が派遣されるか、それらの中の誰かが指名されるかすると思われます。



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