アフガン男性を虐殺した米兵に終身刑
military.comによれば、米コネチカット州軍のデリック・ミラー3等軍曹(Sgt. Derrick Miller of Hagerstown・28歳)がアフガニスタンで民間人を殺害した罪で、仮釈放のある終身刑を科されました。
彼の弁護士、チャールズ・ギティンス(Charles Gittins)は2日間の審理の中で、昨年9月に彼が男性を撃ったのは正当防衛であると主張しました。軍は男性をアタ・モハメッド(Atta Mohammed)と特定しましたが、法廷では彼の名前は使われませんでした。ギティンス弁護士はミラー軍曹が男性を職務質問のために制止した時、彼はミラーの部隊が迫撃砲隊の周辺に設置した防衛線の周辺を歩いていたと言いました。彼はミラーは部隊に対して脅威だと考え、職務質問の間、男性がミラーの武器をつかもうとしたと言いました。最終弁論でギティンス弁護士は、彼が正当防衛を行ったと考えるなら、彼は放免されなければならないと言いました。「ミラー軍曹の人生はみなさんの手の中にあります」と彼は言いました。
しかし、目撃者で州兵のチャールズ・ミラー技術兵(Spc. Charles Miller)は、ミラー軍曹は男性を、本当のことを言わないなら殺すと脅しており、それから、彼を撃つ前に仰向けに横たわる男性にまたがったと言いました。検察官のマット・キャラコ少佐(Maj. Matt Calarco)は最終弁論で「事件の直後、『自分が彼を撃った』と被告人は言いました。彼は嘘つきです」と言いました。
2人の子供の父親であるミラーはコネチカット州軍に配属され、事件当時は第101空挺師団で勤務していました。2006年に州軍に参加してから、ミラーは3回の戦地派遣を経験し、最近昇進していたと、彼の弁護士の1人、マイケル・トレグル大尉(Capt. Michael Tregle)は言いました。「デリック・ミラーは間違った判断をしましたが、人生のチャンスを与えられるべきです」と量刑段階の間に言いました。キャラコ少佐は非武装のアフガン人の民間人を撃ち、彼の体を便所に放置したのは、軍の基準に合致していないと言いました。「みなさんの判決は、確実に兵士がどう振る舞うべきかに関する声明になります」とキャラコ少佐は判決の前に陪審団に言いました。
ギティンス弁護士は判決の後、彼は上訴し、減刑を求めたいと言いました。「私の懸念はこうした評決が、将来において兵士に躊躇をさせかねないということです」。
フォート・キャンベル基地の司令官はこの判決を承認することになっています。
記事はごく簡単にしか事件を伝えていませんが、目撃証言もあり、事実関係は動かしがたいようです。弁護団も最初から勝てないと判断したようなコメントです。それでも、被害者から脅威を感じたかどうかについては、しっかりと聞き取りをして、それを主張した点は、弁護士の基本的姿勢といえ、評価されるべきです。弁護士が容疑者を有罪と決めつけたことで、無実の人が有罪になりかけたという事例もあるからです。
3回も戦地派遣されていれば、現地人との対応は慣れているはずですが、度重なる派遣で行動が異常になる場合もあります。最初は職務質問だったのが感情的になり、発砲したのかもしれません。過去にそういう事例がありました。残念ながら、この記事ではその辺の事情は分かりません。
軍刑務所で一定期間、問題を起こさずにいれば、ミラー軍曹には仮釈放が認められます。その後も問題を起こさずにいれば、自分の人生を生きられます。普通、この種の事件で、どれくらい収監されれば仮釈放されるのかは承知しませんが、5年単位くらいで検討されるのではないでしょうか。
しかし、被害者の氏名すら公判で用いられないなど、軍規違反だけを問題にしている点は、軍事裁判の問題点と考えるべきです。被害者がアメリカ人の場合はこれで済むとは思えません。アフガン人の人権を尊重する意識は米軍にはない訳です。
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