アフガン撤退はゆっくりとスタート
military.comによれば、アフガニスタンからの米軍撤退はタリバンの活動期が終わる秋までは始まりそうにありませんが、州軍800人は今月帰国します。
撤退の詳細は未だに計画を練っているところですが、今のところ、アフガンを出て、交替されない主要な戦闘部隊に指定されたのは、秋遅くに去るように設定された海兵歩兵大隊だけだと当局者は言いました。これは、戦闘が小康状態の季節に入るまで、現在の戦闘力をすべて実質的に維持し、それでも年末までに10,000人を削減するというオバマ大統領の命令に応じることを意味します。
考えにくいことですが、今月にカブールに到着する新しい米軍指揮官が撤退を早めるかも知れません。
カブールの司令部から国防総省の記者に話した、デビッド・ロドリゲス中将(Lt. Gen. David Rodriguez)は、米軍撤退の完全な計画は秋まで完成せず、第4海兵連隊第3大隊が9月までに帰国すると言いました。後で中将の幕僚が彼が言い間違えをしたと言いました。匿名を希望する当局者は海兵隊は秋遅くに帰国すると言いました。この大隊は約800人の海兵隊員を、タリバンの拠点で競合の激しい地域であるヘルマンド州に持っています。この州の州都ラシュカル・ガー(Lashkar Gah)は、今月アフガンに権限委譲された地域の一つで、2014年末までに全土をアフガンの支配下に置くプロセスの始まりでした。この時点で、米軍とすべての外国部隊は撤退します。過去4年半で40ヵ月以上をアフガンで過ごしたロドリゲス中将は、2011〜2012年のオバマ大統領の撤退命令は、徐々にアフガン軍に治安権限を委譲する軍の任務に過度の危険なく実行できると考えます。撤退計画は共和党からは早すぎて危険すぎると、民主党からは遅すぎて慎重すぎだと批判されました。「決断は下され、いまは我々が決断を実行する番です」「そして、我々は現時点ですべての任務に与えているリスクに大きな変化なくそれを行えます」。
6月22日に、昨年彼が送った33,000人の増員が帰国すると発表した時、オバマ大統領は撤退は7月に始まると言いましたが、詳細を決定するのは指揮官に委ねました。撤退する部隊とスケジュールは指揮官の柔軟性に任されました。
ロドリゲス中将は、今月2個騎兵連隊が出発を始めると言いました。ネブラスカ州軍騎兵連隊第1大隊とアイオワ州軍第113騎兵連隊第1大隊です。第134騎兵連隊第1大隊は約300人をカブール州に、第113騎兵連隊第1大隊は約500人をカブール州の北にあるパルワン州(Parwan province)に持っています。
ロドリゲス中将は自身の海外派遣を今月終了し、来週、カーチス・スカパロッティ中将(Gen. Curtis Scaparrotti)に交替します。アメリカに戻る前の最後の定例記者会見で、ロドリゲス中将は、アフガンの暴力のレベルは昨年わずかに上昇し、2012年までに減少するのを疑問視しました。さらに彼は国際部隊は主要な対武装勢力部隊を南部から、暴力が増えている東部へシフトすることを計画していると言いました。彼はこのシフトのタイミングはまだ決まっていないと言いました。
新任のジョン・アレン海兵中将(Marine Lt. Gen. John Allen)が撤退を急がせるかどうかは不明ですが、年末までに1万人を撤退できるかどうかは不明です。海兵歩兵大隊は部隊により規模が違いますがざっと千人程度でしょう。州軍の800人と加えても2割に達しません。しかし、大統領が1万人という数字を示している以上、努力をしなければなりません。1個大隊という数字は現在までに決まった数字であり、これからもっと多くの部隊が指定されるはずです。よって、この数字は最終的にもっと増えると思われます。
ロドリゲス中将が言うとおり、撤退は早すぎません。共和党のジョン・マケイン上院議員が言うような問題は、たとえ起きても気にする必要はありません。少し危険が増えたところで、タリバンが米軍を敗退させられるわけではなく、家族や知人が無事に帰ってきたと思えば、米国民はアフガンの治安が悪化しようが気にしないからです。こういう場合、任務を達成して帰還したと宣言することで、敗戦を勝利に塗り替えられるのです。軍事的にも政治的にもアメリカは傷つきません。
今の世界はそんなものです。これで日本でもアフガン支援を言っていた人たちが静かになることでしょう。アメリカが関心を持っていないのだから、日本も同じことをすればよいというのが、保守的な日本人の発想です。「いま日本がアフガンに介入しなければ、テロリストの巣になってしまう」などと言っていた人たちが、どう態度を変えるかを、我々は注視すべきです。
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