リビア政府がNATO軍の誤爆を批判

2011.8.10


 BBCによれば、カダフィ政権は、NATO軍が月曜日にズリタン(Zlitan)の南にあるマジャ(Majar・kmzファイルはこちら)を爆撃し、民間人85人が死亡したと主張しました。

 NATO軍は軍事目標を攻撃し、民間人の死はありそうにないと言いました。BBCの記者は、地元病院で約30個の遺体袋を見たと言いましたが、人々がどうして死んだのかは不明です。

 声明の中で、NATO軍は月曜日夜に、ズリタンの南を攻撃したことを認めましたが、目標が軍の集結地だったことを示唆しました。「NATO軍は、元は農場の建物がリビア国民を攻撃するためにカダフィ軍の集結地として使われているという極めて明白な情報を得ていました」「現段階で、我々は民間の犠牲者の証拠を持っていませんが、傭兵を含む軍隊の犠牲者は目標の性質のためであると思われます」。

 外国人記者を現場へ連れて行ったカダフィ政権の広報官は、33人の子供、32人の女性、20人の男性を含む、85人が殺されたと言いました。「(NATO軍は)兵士、子供、老人の区別をしていません」と5年目の医学生アブドルケイダ・アル・ハワリ(Abdulkader al-Hawali)は病院で言いました。

 BBCのマシュー・プライス(Matthew Price)は、政府主催ツアーの間に、病院で約30個の白い遺体袋を見ました。遺体袋の半分はメディアのために開けられ、大半は戦闘できる年齢の男性で、子供が2人、女性が2人いました。

 記者たちはトリポリ南方の田園地帯にも連れて行かれ、明らかに空爆で破壊され、かなりの損害を受けた、一軒家を見せられました。残骸の中には、ベッド、ソファ、教科書の残骸がありましたが、記者は正確に何が起きたのかを読み取るのは難しいと言いました。病院で、攻撃を受けた家の教科書にあった名前、15歳のサルワ・ジャウ(Salwa Jawu)は、彼女の母親と、姉妹2人、姉妹と彼の妻が空爆で死んだと言いました。彼女は肩を骨折し、顔に傷を負いました。「私はなぜ攻撃されたのかが分かりません」「私たちは民間人です」。と彼女は言いました。


 マジャで本当に民間人の犠牲が出たのなら、富裕層などの家族を軍の集結地に避難させていたのかも知れません。犠牲者の内訳は恐らく嘘です。死体袋の半分にほとんど男性が入っていたのなら、女性と子供の数が水増しされているとしか思えません。この記事は、読者に事実関係を適切に説明していると言えます。

 トリポリ南方の爆撃は誤爆の可能性が高そうです。狙いを逸れた爆弾が命中したのかも知れません。



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