左腕一部損失でシールズに復帰/チヌーク撃墜犯を殺害
military.comが、先週ヘリコプターの墜落で死亡した海軍シールズ隊員の経歴を報じました。その中に意外な記述がありました。
マシュー・メソーン(Matthew Mason)
2004年、ファルージャ(イラク)で負った腕の重傷は、マシュー・メソーンをイラク戦争の戦場から遠ざけませんでした。それは、熱心なランナーでカンザスシティ出身の元高校アスリートの競争心を鈍らせませんでした。
左腕の一部の損失、破片が体にめりこんだことと肺虚脱で苦しんでから5ヶ月以内に、メーソンはトライアスロンのレースに出ました。彼はすぐにシールズ部隊に復帰しました。
彼のプロフィールはさらに続きますが省略します。
military.comの別の記事によれば、ジョン・アレン海兵大将(Marine Gen. John Allen)は、特殊部隊はチヌーク・ヘリコプターを撃墜したタリバン兵を殺害したと言いました。
特殊部隊はCH-47チヌークにPRGを撃ったタリバン兵の一団を追跡し、月曜日の深夜頃に空軍のF-16が目標に爆弾を投下して殺害しました。
アレン大将は、海軍特殊戦開発グループ(the Naval Special Warfare Development Group)の隊員が、タリバン上級指揮官を捕獲・殺害するより大きな作戦の関連で、チヌークに搭乗し、タリバン戦士と交戦中の陸軍レンジャー部隊の支援要請に応えようとしていたと認めました。指揮官と彼の側近たちに逃亡の恐れがあったので、地上部隊は彼を追跡する支援を求めました。シールズを乗せたヘリコプターが接近すると、武装勢力の別のグループがそれを撃墜しました。アレン大将は、少なくとも1個のRPGがヘリを撃墜したと考えていると言いましたが、小火器による銃撃も使われたことを排除できないと言いました。作戦の目標であったタリバン指揮官は結果的に逃げ、レンジャー部隊は銃撃戦から墜落したチヌークを守るために戻り、手を貸したいと思いましたが、彼らにできることはありませんでした。しかし、アレン大将は、アメリカの特殊部隊員は指揮官を追跡し続けており、彼を捕まえるには長くはかからないと誓約しました。
アレン大将は土曜日の墜落について特殊作戦の詳細を語るのは拒否し、アメリカ人指揮官がどのようにしてチヌークを発砲した戦士のグループを殺したと知ったかを詳細に述べませんでした。彼は空襲が恐らく10人かそれより少ない人数を殺したと言いました。
左腕を損失したら、普通は特殊部隊には在籍できないし、トライアスロンも無理でしょう。だから、腕や手が切断される形の損失ではなく、筋肉をもぎ取られるような損失だったのだろうと思われます。破片が体にめり込んだことと肺虚脱は、負傷が手榴弾か砲弾の破片であることを連想させます。爆発により、腕の筋肉が失われ、破片が体にめり込んだことで肺の空気が抜ける、外傷性の肺虚脱となったと考えられます。腕の筋肉が戻り、肺虚脱も治ったのでシールズに復帰できたのでしょう。それにしても、腕の筋力はかなり落ちたはずです。驚くべき意志の強さです。
チヌークを撃墜したのは別のタリバンのグループだったとアレン大将も認めています。レンジャー部隊は彼らを追跡したはずですが、それについては何の情報もありません。殺害に成功したとしても、本当にチヌークを撃墜した者を殺害したかどうかは分かるはずはありません。RPGを発射した場所にいたグループを暗視装置を使って尾行し、適当な場所へF-16を呼んで空爆させ、追跡隊は別の場所にヘリコプターを呼んで引き揚げたのです。爆撃した場所に行って戦果を確認したとは思えません。爆発を見て近づいてきたタリバンやアフガン人に出くわす恐れがあるからです。10人程度というのは、暗視装置による監視の結果でしょう。まして、犯人を殺したというのは、合理的な推測であり、確証ではないと思われます。
ここまで分かると、別の疑問が浮かんできます。作戦の目標であるタリバン指揮官を諦め、ヘリを撃墜したグループを追いかけたのは妥当だったのかということです。レンジャー部隊はタリバン指揮官がいるグループと交戦していて、多分、ヘリを撃墜したグループからは離れていたはずです。それなのに、タリバン指揮官の追跡は放棄したわけです。なぜ、暗闇の中で指揮官を捕まえられるチャンスはなく、ヘリ撃墜のグループならそれが可能だという判断ができたのかは不明のママです。犯人を殺したとしても、こんな報復合戦はほとんど意味をなしません。タリバン指揮官の方がずっと重要な目標です。
これまでに分かったことを整理すると、レンジャー部隊は別のグループがいることを知らずにシールズの応援を要請し、それが撃墜の原因となったことになります。現場に潜入する前に、ガンシップなどを用いて、上空から現場を偵察し、伏兵を確認していない点が問題だと思われます。チヌークを現場に入れるかどうかは大きな問題ではありません。
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