米英が特殊部隊の大佐捜索を否定

2011.8.27


 military.comによれば、米国防総省広報官、デビッド・ラパン海兵大佐(Marine Col. David Lapan)は木曜日に、NATO軍か米軍がカダフィ大佐の捜索に積極的に携わっているという主張を否定しました。

 ラパン大佐は、アメリカはリビアで政府軍の攻撃から民間人を守るNATO軍の任務を支援する航空偵察を行っていると言いましたが、これは居場所が分からないカダフィを狙っていることを意味しないと言いました。個人を狙ったり、追い詰めることはNATO軍の任務ではないと言いました。

 この声明は、NATO軍の諜報・偵察資産がカダフィを追い詰めるのに使われてきたと言ったイギリスのリーアム・フォックス国防大臣(Defense Secretary Liam Fox)のコメントと対立しました。「私はNATO軍の人々と指揮系統によって、彼らが特定の個人を狙うことに関係していないこと、彼らが捜索に関与していないことを確認しました」。

 それでも、ラパン大佐は彼は米軍資産に関して話せるだけで、アメリカの諜報資産についてではないことを認めました。AP通信はCIAがリビアで活動していることを報じています。秘密作戦はNATO軍の作戦の外にあります。NATO諸国もNATO軍の任務と同時に軍事顧問団を派遣しまあしたが、反政府派と協力するためにより広範な命令を持っています。

 米国防当局者は、彼らが国連の付託に違反するとか、政治家が米軍の関与の拡大に反対する本国で政治的な抗議を引き起こすことを避けるために、非常に注意深くリビアでの米軍の活動を描写して苦労しました。木曜日に、ラパン大佐はアメリカの諜報データは反政府派に直接渡されず、他の同盟国を通じて反政府軍に渡されているかも知れないと言いました。

 BBCによれば、フォックス大臣は諜報資産がカダフィ大佐の捜索が長引かないために展開されたことを認めました。これは、支持者やカダフィ大佐が何かを表明しようとするのを調べる通信傍受だけでなく、地上にいる諜報員が最新の報告と噂を収集すること、衛星が砂漠で通常ではない車列の動きを監視することを含みます。フォックス大臣と当局は、SASが地上での捜索を支援する命令を受けたかを確認することを拒否しました。


 と言うわけで、昨日の産経新聞の記事はあっという間に否定されたようです。これも特殊部隊がスーパーマンの集まりみたいに誤解している人が多いために起こるのかもしれません。

 デイリー・テレグラフ紙の記事は非常に短文でした。産経新聞はそれを引き延ばしてスクープみたいに作り上げたのです。私なら元記事の分量があれだけなら、まず疑ってかかりますし、他に裏づけの情報を探すでしょう。

 ラパン大佐が言うように、通信傍受などはCIAの諜報資産を使うのが有効です。軍の諜報資産は戦闘に寄与するものが中心ですから、大佐の捜索にはそれほど役に立ちません。しかし、カダフィ大佐の居場所が分かり、反政府軍が集結するには時間がかかる場所だったりすれば、特殊部隊を派遣して確実に大佐を捕らえようという話になるかも知れません。

 ラパン大佐が意図しているのは、米軍が無制限にリビア作戦に関与しているような印象を与えることを避けることです。国連がいう「民間時の保護」は正当な命令ではありますが、これはカダフィ政権打倒を目標とする必要もあるため、実質的に反政府軍の支援をNATO軍が行う形になります。そこで起こる様々な批判を避けるためには、米軍がカダフィ大佐の捜索に参加していないと言いたくなるのです。

 なお、カダフィ大佐は自分はトリポリ周辺にいると思わせたがっていますが、最も有効な逃亡先はリビア南部で、ここから砂漠を経て、隣国へ脱出するのではないでしょうか。



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