大佐一家はアルジェリアへ脱出?

2011.8.28


 BBCはカダフィ大佐がリビア西部のガダミス(Gadamis・kmzファイルはこちら)からアルジェリアに脱出したという報道について、国家暫定政権の広報官、ベン・アリ(Ben Ali)のコメントとして、アルジェリアは彼に聖域を与えるかも知れない最後の隣国であるため、ありそうなことだと言ったと報じました。


 この記事を報じたエジプトの国営中東通信は後に記事を削除し、アルジェリアも大佐の入国を否定しています。

 しかし、脱出ルートの妥当性を検討すると、ガダミスからアルジェリアへ出るのは悪くない選択肢です。Google Earthで道路の表示をオンにして、下の説明を読んで脱出ルートを辿ってみてください。

 トリポリのバブ・アル・アジジヤ(kmzファイルはこちら)の地下トンネルは20km離れたトリポリ国際空港(kmzファイルはこちら)にもつながっているという噂があります。これが事実として考えます。

 トリポリに反政府派が侵入すると、カダフィ一家は地下トンネル内のどこかに待機し、サイフ・アル・イスラムがリクソスホテルに現れ、健在であるのを示して反政府派を牽制します。これにより、反政府派がバブ・アル・アジジヤに突入して、地下トンネルを見つけるまでの時間を稼ぎます。すぐに彼は地下トンネルへ戻り、一家と合流します。彼らは地下トンネルでトリポリ国際空港まで行き、車に乗り換え、この空港の近くを南へ向かう幹線道路を進みます。

 タヒュナ(Tarhunah・kmzファイルはこちら)とバニ・ワレド(Bani Waled・kmzファイルはこちら)を経て、反政府派が押さえているナフサ山脈の東端を回って回避します。カーヤット(Qaryat・kmzファイルはこちら)で西へ転じ、ガダミスを通過して2ヶ所ある国境のどちらかを使って出国します。これなら反政府派の影響力が小さい場所を通って出国できます。

 西側の国境の近くには滑走路があります。アルジェリア政府がカダフィの入国を承認していれば、ここに迎えの飛行機を出したかも知れません。

 もちろん、街の中の道路では拘束の危険性があるので、車列は街の外側を迂回して進行したでしょう。街の名前はルートを考える上での目安にしてください。

 以上のルートは、比較的整備された道路を使って、安全に逃走するのに向いていることが分かるはずです。

 19日付けの記事で、米当局者がカダフィ大佐がチュニジアへ亡命しようとしていると見ていることを紹介しました。ガダミスからはチュニジアにも近く、入国は可能です。直感的な話でしかありませんが、私はこのルートは多分に現実性を帯びていると感じます。



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