アフガン人職員がCIA請負業者を襲撃

2011.9.28


 military.comによれば、アフガニスタンのカブールにあるCIAが使用している建物で、アフガン人職員がCIAの請負業者1人を殺害し、もう1人を負傷させました。

 この事件は国際部隊で働くアフガン人職員による今年の攻撃の増加の中で、最新のものを示しました。これらの襲撃者の一部はタリバンのスリーパー(潜入工作員)で、他の者は個人的な不満が動機だと判明しています。

 日曜日夕方の襲撃者は殺害され、単独犯行か、武装勢力グループに所属していたのかはまだ不明です。匿名を希望したワシントンの米当局者はアフガン人の攻撃者はCIA事務所の警備を行っており、死亡したアメリカ人はCIAの請負業者として働いていたと言いました。CIAはコメンを辞退しました。

 発砲は現地時間午後8時に、元情報当局者がカブールのCIAの拠点だと言った建物、元のアリアナホテル(Ariana Hotel)周辺で最初に聞かれました。CIAは厳重に警備された建物を占拠しており、それはアフガン大統領宮殿から数ブロック離れています。米大使館は、施設のアフガン人職員が攻撃を行ったと認めました。「攻撃の動機はまだ調査中です」と大使館は声明で言いました。大使館広報官、ギャビン・サンドウォール(Gavin Sundwall)は、目標とされた別館が何のために使われたかにコメントするのを保安上の理由を挙げて辞退しました。サンドウォールはアフガン人職員は武器を携帯することは許可されておらず、男が銃を警備された施設にどうやって持ち込んだかは不明だと言いました。大使館は殺されたアメリカ人に関する情報を提供しておらず、銃撃で負傷した人物は命の危険はない傷で軍病院に運ばれたと言いました。大使館は「業務を再開した」としています。


 記事はまだ続きますが、過去のテロ攻撃の事例などが中心なので省略し、事件に直接関係がある部分だけを紹介しました。

 死亡したCIA請負業者がどんな業務をしていたかは不明です。情報収集を担当していて、彼が使っていた情報提供者が不満を持って殺したという筋書きはよく耳にしそうなことですが、警備担当者が殺害したという点が気になります。警備担当ということになっていますが、武器を持っていたことから実際には特別な任務についていた可能性もあります。詳細は当面明かされないでしょうが、タリバンによる暗殺ということも考えられそうです。

 しかし、この事件は米軍のアフガン駐留の裏側を垣間見せる事件だと思いました。これまでも、アフガン軍などの隊員による米軍やCIAに対する様々な攻撃が起きてきました。それらにはアフガン軍に潜り込んだタリバンの攻撃もあれば、本物の隊員による攻撃もありました。これが敵地で長期間治安作戦を行う場合に避けられない問題です。イラク侵攻後にこの問題が起こり、米国内で批判が広がったので、ブッシュ政権はアフガンに主軸を移しました。しかし、やることは同じなので、同じ問題がアフガンに移動しただけでした。イラクの誤りを是正するつもりでアフガンに狙いを変えるつもりで、逆に問題を大きくした訳です。オバマ政権がイラク撤退を決めたからイラクの米兵は減り、攻撃の危険も減りました。日本もかつて朝鮮と中国に進出して、同じ目に遭っています。工作員を送り込んで情報を収集し、敵の工作員を捕らえるのです。そして、国際社会には平和のためにやっていると説明します。どちらもやっていることはまったく似ています。



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