反政府派指揮官とのインタビュー

2012.10.16


 BBCが、アレッポで拘留中に拷問されたことがきかっけで、反政府派の指揮官になったビジネスマンにインタビューしました。

 「問題は『我々は拷問されたか?』ではなく、『いつ拷問されなかったか?』でなければなりません」と、アブドゥル・ラウーフ医師(Dr Abdul Raouf )は、アレッポで成功した、裕福なビジネスエリートでした。しかし、シリア革命が国を覆い始めたとき、彼は政治に注目し、変化を要請するために密かに人と会いました。そして、彼は逮捕されました。BBCの記者は、彼のグループ3人とインタビューしました。

 「アル・ケーゾク(Al Khazouk)から話をはじめましょう」。彼は、この特定の拷問のやり方を解説しました。それは棒を彼に押し込むものでした。別の男が「シリア人なら誰でもアル・ケーゾクが何かを知っています」とうなずき、他の者たちは同意しました。彼は電線を胸と性器につける方法を示しました。彼は肋骨を折られた殴打について話しました。こうした手法は、彼らがさりげなく説明するほど、ごく一般的であるように見えます。実際、医師のパイプから出る煙の中で、男たちは恐ろしい物語を語る間に、冗談を言い、クスクス笑いました。しかし、ある時点で、彼は熱くなり、指を突き立てて、「ワラヒ(神に誓って)」と叫びました。彼は女性の囚人が目の前で強姦されるのを見ることを強いられ、警備員に「我々が望んでいることを話さなければ、お前の妻もこうしてやる」と言われたと説明しました。ラウーフ医師は、逮捕される前に、抵抗活動をする間、このグループが身を守るために武器を手に入れるべきかについて、長い議論をしたと言いました。「でも、釈放された時、我々はできるだけ武器を買おうと決めました」。

 記者たちは南部にある反政府派の拠点で、上空を飛んだジェット機を撮影しようとして、建物の後ろに回った時に、数人の戦闘員が集まっているのを見つけました。彼らは記者を疑わしい目で見て、「君たちは誰だ?。ここで何をしている?」と尋ねました。何人かは長いあごひげがあり、流れるローブを着ており、外国人らしく見え、明らかに外国人ジャーナリストに会ったことを不愉快に思っていました。記者は、彼らを撮影しても、話しかけてもいけないとされる建物の前に連れ戻されました。記者たちはあとで、これがアルカイダとつながるとされるジャバット・アル・ヌスラ(Jabhat al-Nusra)であることに気がつきました。彼らが何人か、何人の過激派や外国人ジハーディストがシリアに入国したかも信頼できる数字はありません。ある者たちはアレッポの反政府派戦闘員の10%だと見積もります。実際には、彼らは数百人くらいでしょうが、最も危険な地域で活動しています。彼らはどの武装勢力よりも容赦ない戦術を用い、数は増大しています。

 「イスラム主義グループは、西欧が傍観している時も、我々が権利を得ることを助けています」とラウーフ医師は言います。彼は過激派たちと同盟を結び、彼らが非宗教的で、民主的な政府を受け入れ、戦いが終わったら武器を置くと信じています。一部はそれに懐疑的かも知れません。


 拷問のやり方は、これまで歴史的に見られたものと大差ありません。こうした陰惨な手法が繰り返し行われてきたのです。一方で、こうした拷問は大衆の怒りをかうことしかなく、逆効果であることが分かっています。これは暴力的な手法は効をなさない、ということの実例なのです。

 体験談も参考になるものですが、外国人戦闘員の割合は、やはり軍事ウォッチャーとしては気になる数字です。また、革命が成功した後、彼らが帰国するのか、シリアで活動を続けるのかについてのラウーフ医師の見解も興味深いものでした。

 アラブの春を成功させた国は、いずれも、外国人戦士に牛耳されることもなく、自国内の民兵すら規制しようとする方向になっています。間違っても、アルカイダの活動に与することはないでしょう。トルコが反政府派を支援していることから、新生シリア政府は、親トルコ政権となるでしょう。クルド人の問題をどうするかという政治的課題もありますが、とりあえずは、アサド政権を消滅させることで、シリア人の意向は一致しているのです。



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