反イスラム映画の張本人、ナクラが出廷

2012.10.2


 military.comによれば、反イスラム映画を制作し、イスラム国で激しいデモを引き起こした張本人、ナクラ・バセレイ・ナクラ(Nakoula Basseley Nakoula)が出廷し、証言しました。少し前のニュースですが紹介します。

 2010年の小切手詐欺事件の執行猶予に違反したあとで逮捕されたナクラは、本名はマーク・バセレイ(Mark Basseley)だと言いました。詐欺事件ではナクラという名前でしたが、彼は2002年から偽名を使っていたと言いました。

 スザンヌ・シーガル裁判官(Judge Suzanne Segal)はナクラに、別の判事が執行猶予の条件を破ったかを判断する審問を開くまで、保釈金なしで刑務所に拘束すると命じました。「法廷は現時点でこの被告人を信頼しません」とシーガル裁判官は言いました。  検察官はナクラが、保護観察官へ嘘をついたこと、偽名を用いたことを含め、8件の執行猶予違反を犯したと指摘しました。彼は最高2年間の投獄されるかも知れません。2010年の有罪判決の後、ナクラは21ヶ月の禁固を宣告され、保護観察官の許可なしにコンピュータやインターネットを5年間使うことを禁じられました。彼は、保護観察官の事前の書面による承認なしに、法律上の名前以外の名前を使うことも禁じられました。

 しかし、今月だけでも彼は3つの名前に関係しました。昨年作られた映画はサム・バシル(Sam Bacile)と称する男が作りました。暴力事件になった後、マスコミと話してバシルと特定された男は、映画は彼が癌と呼んだマホメットとイスラム教の真相を描くためだと言いました。AP通信は翌日、バシルは実在せず、薬物で有罪になり、偽名を用いた経歴を持つ、元ガソリンスタンドのオーナーであるナクラの身元と結びつけました。連邦機関はあとで、バシルは存在しないことを確認し、ナクラが映画の背後にいることを確認しました。

 執行猶予違反容疑に関するナクラの嘘のいくつかは映画に関係していると、ロバート・ダグデール連邦検事補(Assistant U.S. Attorney Robert Dugdale)は言いました。ナクラは保護観察官に、自分の役割は脚本を書くことだけだと言い、映画に関与する中でサム・バシルの名前を使ったことを否定しました。姿を隠すため、ナクラはAP通信に映画に関与したが、計画と運営だけで活動したとしか認めませんでした。

 エジプト出身のキリスト教であるナクラは、予告編の背後にいると特定された後で姿を消しました。彼は連邦保護観察官に2週間前に会い、ロスアンゼルス郡の保安官補が横に並び、身元を守るために分厚い衣類で覆い隠されて、セリトス(Cerritos)郊外の自宅から夜中に連れ出されました。

 木曜日にナクラは公に初めて姿を現しましたが、報道機関は法廷に入れず、記者は法廷の近くで、テレビで審理を見ました。

 手錠と足かせをつけられて法廷に入ったとき、ナクラはベージュのパンツと襟のあるシャツを着ていました。彼はリラックスして、審理が始まる前に弁護士と話す間、微笑んでいるように見えました。  ナクラの弁護士、スティーブン・セイデン(Steven Seiden)は、審理を終わらせ、依頼人を10,000ドルで保釈させようとしました。彼はナクラが頻繁に保護観察官のチェックを受け、南カルフォルニアから出ようとしなかったと言いました。セイデン弁護士はイスラム系の収容者を理由に、ナクラが連邦刑務所にいると危険だと懸念しましたが、検察官は彼が保護下に置かれるはずだと言いました。

 チャップマン法大学の憲法と刑法の教授、ローレンス・ローゼンソール(Lawrence Rosenthal)は、判事が非暴力の執行猶予違反に対する即時拘束を命じたことはこの事件は極めて異例で、ナクラの身元に疑問があるのならなおさらだと言いました。「検察が誰がやったことかが本当に分からない時、逃走について言いやすいものです」「私が本当の住所をまったく言わない者を起訴して、誰かが分からないのなら、法廷で真相を暴く彼らの能力はあまり信頼できないことになります」。

 ナクラに逃亡の恐れがあると言う中で、ダグデール検事はナクラは本名のような基本的な事柄すら明らかにできないと言いました。「彼は単に信頼できない人なのです」。


 記事は一部を紹介しました。

 やっと、ナクラに関する情報が公になってきたわけですが、依然として正体不明の部分がほとんどです。今後、法廷で映画を作った動機などを証言して欲しいとは思いますが、その部分は話さないという選択肢もあります。容疑は執行猶予違反なので、映画の内容については話さないこともできるのです。しかし、仮に全面的に話しても、大した内容ではあるまいという気がしています。

 その内、周囲の人たちのナクラ像が取材され、報じられることでしょう。その方が本人の証言よりも面白いかも知れません。



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