シリアの停戦実現は期待薄
BBCによれば、ラハダル・ブラヒミ特使(Lakhdar Brahimi)は、より長期で、より効果的な停戦を議論するために、停戦を活用することを希望すると言いました。しかし、シリア外務省は停戦は合意しておらず、木曜日に決定を発表すると言いました。
反政府派は停戦の計画について分裂し、ある過激グループは停戦を守る気はないと言いました。いくつもの爆弾攻撃を実行したというアル・ヌスラ戦線(The al-Nusra Front)は、騙されて「不潔なゲーム」をする気はないと言いました。主流派の自由シリア軍はいかなる停戦にも応じると言いました。しかし、同軍のムスタファ・アル・シーク将軍(Gen Mustafa al-Sheikh)は「そう言っても、政府が停戦を実行することは不可能です」と言いました。
「シリア政府から犠牲祭(Eid al-Adha)期間中の停戦の合意があります」とブラヒミ氏は言いました。「我々が接触できたシリアのその他の派閥、戦闘グループの責任者の大半も、停戦に原則的に合意しています」。彼の発表の直後、シリア外務省は、政府はまだ提案を調査中で、木曜日に最終的な立場を表明すると言いました。しかし、ロシア外交官は、ダマスカスが計画を承認する徴候をつかんでいると言いました。
military.comも、AP通信の報道として、アル・ヌスラ戦線が停戦を拒絶したことを伝えています。
military.comによれば、ロシア軍参謀長、ニコライ・マカロフ大将(Gen. Nikolai Makarov)は、シリアの反政府派が米国製のスティンガーミサイルを含む、携帯型対空ミサイルを手に入れたと言いました。
マカロフ大将はミサイルの数と、誰が供給したかについては言及しませんでした。こうした兵器の一部は民間航空路で運ばれたとしましたが、大将は詳細を明らかにしませんでした。
記事は一部を紹介しました。
今朝の国内報道を見て驚きました。すべての記事が停戦が実現したかのような見出しを掲げたからです。BBCの記事は、さらに詳しく書いていますが、見出しは似たようなものです。しかし、実態はブラヒミ氏の勇み足であり、シリア政府は最終的な決定を下していません。実際に、誰もこの停戦案が実現するとは考えていないのです。
なぜ国内報道が先走った報道をしたのかというと、太平洋戦争での失敗が根本にあります。戦後、報道は平和を基調とする方針を保ってきました。紛争が中断する兆候があるなら、そう書くのが平和的な報道と考えてきたのです。しかし、軍事敵に見れば、この方針は誤りです。戦いは、特に理由がない限りは、極限状態まで激化するものであり、そこに平和主義の入り込む余地はありません。むしろ、平和を求めるからこそ、紛争や戦争の推移は正確に分析すべきなのです。
シリア内乱には停戦を実施すべき理由はなく、実現しない可能性が極めて高い状況にあります。仮に、シリア政府が停戦を発表しても、反政府派の一部が攻撃を止めなければ、シリア軍は反撃し、そこで停戦は壊れます。
読者は今日の国内報道の誤りを記憶してください。こういう誤りが、過去に何度も繰り返されてきたことも。
ロシアが言う米国製対空ミサイルの存在はまだ確認されていませんが、あってもおかしくはありません。しかし、先日、ロシア製のレーダー部品をトルコ政府が差し止めたことに対して、ロシア政府が反論をしているだけかも知れません。いずれ、どこかのメディアがこのミサイルを写真に収めるかも知れません。
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