シリアの停戦は初日から崩壊
シリアの停戦は初日から守られず、全土で暴力が吹き荒れました。
BBCによれば、首都ダマスカスは自動車爆弾の攻撃を受けました。人権活動家は爆発物がダフ・アル・ショウク(Daf al-Shouk)の遊び場付近で爆発したと言いました。国営テレビは子供を含めた5人が死亡、30人以上が負傷したと言いました。全土での暴力事件が金曜日の夜まで続き、人権団体「Syrian Observatory for Human Rights: SOHR」は、少なくとも60人が殺されたと言いました。
シリア・トルコ国境にいるBBCのジェームズ・レイノルド(James Reynolds)は、戦いが国境地帯で一日中続いたと言いました。SOHRは、ダマスカス、ホムス(Homs)、イデリブ(Idlib)で様々な暴力が起きたことを報告しました。同団体は、戦闘が停戦開始の4時間後にマアッラト・アル・ヌーマン(Maaret al-Numan・kmzファイルはこちら)の軍事基地の近くではじまったと言いました。その後、南部のデラア(Deraa)で自動車爆弾の攻撃があり、兵士3人が死亡したと人権団体は言いましたが、独自に確認されませんでした。
ダマスカスの自動車爆弾は停戦が持続する、あらゆる機会をも破壊しました。事件現場の映像はひどく壊れた建物の中に数台の車があるのを映しました。国営メディアはこの攻撃をテロリストの仕業としました。人権活動家は、爆弾がアサド大統領に対する反乱を一部が支持したスンニ派の民間人を狙ったようだと言いました。地域調整委員会の反体制派グループは、爆弾事件の後で群衆が政府に抗議するために表に出たと言いました。彼らの主張は確認されていません。他の報告では、金曜の祈りの後、反政府の抗議が広範囲に行われたと主張しました。
military.comも、停戦破りについて報じています。
国営テレビは、首都の爆弾事件が少なくとも5人を殺し、30人以上を負傷させたとして、テロリストを非難しました。
反政府派は北部で政府軍が砲撃を始めたと非難しました。シリア軍は、それは停戦に違反した武装した反政府派による攻撃への応戦だと言いました。「武装したテロリストグループが軍の基地を攻撃し、軍司令部が合意した軍事作戦の停止に明確に違反したのです」と、国営テレビで読み上げられた声明で政府軍は言いました。「我が勇敢な軍隊がこうした違反に応戦し、こうしたグループを追跡しています」。
アレッポ(Aleppo)の自由シリア軍指揮官は、政権が停戦の誓いを破ったと非難しました。「政権は停戦を尊重せず、発砲も、衝突もないのに砲撃を始めました……何が停戦ですか?。我々は政権を信用できません」「政権は信頼できず、ペテン師と嘘つきです」と、アバド・アル・ジャベル・アル・アカイディ(Abd al-Jaber al-Akaidi)は言いました。
SOHRはダマスカスの南部を揺るがした自動車爆弾で死傷者が出たと言いました。「ダフ・シャワク地区(the Daf Shawk district)のショータ(Shorta)として知られる場所のオマル・ビン・カターブ・モスク(the Omar bin Khattab mosque)の外で爆弾を仕掛けた車が爆発し、大勢を殺傷しました」と人権団体は言いました。
治安当局筋は、爆発は警官とその家族の住居用の建物を狙い、爆発が起きた時に子供たちがこの地域で遊んでいたと言いました。SOHRは犠牲者に子供が1人含まれていることを確認しました。犯行声明を出したイスラム過激派のアル・ヌスラ戦線(Al-Nosra Front)は、いかなる停戦も拒否しました。
人権団体はデラアの自動車爆弾でシリア兵11人が負傷したとも報告しました。デラアはこの内乱を生んだ地です。
SOHRの理事、ラミ・アブドル・ラーマン(ラミ・アブドル・ラーマン)は、ダマスカス周辺、アレッポ、ホムス、ワディ・デイフ陸軍基地(Wadi Deif military base)の近くを含むシリア全土で戦闘があったと言いました。ワディ・デイフ陸軍基地では、少なくとも政府軍兵士10人、反政府派4人が死んだと人権団体は言いました。彼らは全土に広がる活動家と民間と軍の病院にいる医療従事者のネットワークに頼っています。
記事は一部を紹介しました。アレッポを取材したBBC記者が戦闘を見なかったとか、デモに警察が発泡したといったことも書かれていますが、時間の関係で省略します。
結局こうなるのか、という思いです。予想したこととは言え、あまりにもその通りという結果でした。
こういう現象を、読者にはよく記憶しておいて欲しいのです。人は争う条件が整うと、攻撃を極限まで激化しようとします。逆に、争うべき理由がないところでは、まったく争わないのです。このことは、平和を考える上で、とても重要です。何が戦争の原因になるのかを見極める目を養って欲しいのです。
軍事的に考えると、中国は尖閣諸島に軍隊を派遣できません。中国軍にその能力がないこと、アメリカが尖閣諸島を日本領土と宣言していること、台湾にも近く、中国軍が近づくことに台湾が難色を示す可能性もあることなどが理由です。ところが、日本には中国軍が攻めてくると公言する人たちがいて、石原慎太郎前都知事は東京都が島を購入するという決定をしました。これをきっかけに中国で反日活動が激化し、日中関係はいまや最悪の状況です。曖昧にしておくことで、問題は解決しないものの、両国の関係を悪化させずに済ませられたはずです。石原前都知事は、島の購入を宣言することで、争う理由を作り出しました。理由ができると、対立は行くべきところまで行くのであり、その極限点が見えない時は、対立を激化すべきではないのです。石原前都知事はあっさりと知事の座を投げ出し、尖閣諸島問題も、オリンピック招致にも区切りをつけることなく辞めてしまいました。彼が問題の落としどころを考えていたとは思えず、自分の政治的な名声のために問題を利用しただけのように見えます。今後は国政の場で、意味のない対立激化を試みていくことになります。
シリア内乱に比べれば、ずっと負荷が低い尖閣諸島問題でも、客観的な態度を貫けないようでは、もっと大きな軍事敵困難に立ち向かえないことは言うまでもありません。
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