米とタリバンとの和平成立は期待薄
military.comによれば、アメリカの軍と文民の指導者はアフガニスタンのタリバンとの和平協定を取り決める希望を、ほとんど諦めています。
「私には(和平協定が)次の2年間で成立するとは思えません」と連合軍の高官は言いました。「タリバンは非常に強力な敵で、それは否定できません。絶え間ない戦いが、何年も続くでしょう」。
タリバン指導者と意味のある交渉ができないことは、2009年の米軍増派の間に主張された進展が実際にどうだったかを強調すると、オブザーバーは言いました。増派した部隊はタリバンが占める領域を奪還したものの、ノックアウトパンチを加えることはできませんでした。
オバマ政権の批判者は、アメリカが2014年の最終期限で合意することで立場を弱めたと言うと、タイムズ紙は書きました。オバマ政権は自国にいる戦争で疲弊したアメリカ国民のための政治的な必要性だけでなく、自国に完全な責任を負うことでアフガン政府と軍隊に圧力を与えることで不可欠だと主張しました。
米当局者はタリバンの戦士がアフガン軍が思ったよりも手強い敵であることに気がつき、交渉のテーブルにつきたくなることを希望すると言いました。
和平協定がありそうにないものの、アメリカは交渉を諦めていません。先月、アメリカは交渉相手になる新しいタリバンの指導者を評価するためにパキスタンと委員会を設置することに合意したと、タイムズ紙は報じました。オバマ政権は3月に崩壊した協議を再開させる、捕虜交換を再提案することも検討しています。
米軍の3分の1はアフガンを出国し、翌年は残る68,000人の大半が出国するだろうと当局者は言いました。目標は2014年末までに、教官と特殊作戦軍の残存部隊を残すだけにすることです。
この記事には個人的に戦慄を覚えました。
私は以前から2009年の増派の成果に否定的で、ISAFは芳しくない成果を隠していると言い続けてきました。また、タリバンは和平に応じないとも言い続けてきました。いまになって、ようやく然るべき立場の人間が本音を語り出したのです。
この点はmilitary.comも報道姿勢を反省すべきです。2003年のイラク侵攻からしばらくの間、同紙は盛んに戦況を報じましたが、2009年以降はアフガン戦の状況はまったく分からなくなりました。報道機会が明らかに減り、私はそれは何かを隠している証拠だと見てきました。
2009年には信じてもらえなかったかも知れませんが、これは自分の分析結果を率直に表現した結果です。カンダハル市周辺の戦況は街の西部に進出したあたりで急に報じられなくなりました。タリバンの拠点であるカンダハル市全域を掌握しないと、タリバンをへこませて和平に応じさせるという増派の目的は達成できないのに、記事が消え失せたのです。成果をあげたのに、ISAFが何も発表しないはずはないのであり、これは戦況が悪い証拠でした。2003年当時の記事と比較すると、露骨なほどに記事は減りました。シャーロック・ホームズみたいな推理をしなくても、この変化は誰の目にも明らかでした。このように報道記事を定点観測するだけで、地球の反対側の動静を判断できるのです。これがインターネット時代の凄さです。
断言できますが、国内報道だけを2003年から追い続けてきた人には、こういう判断はできません。国内報道は増派に期待を持たせるような書き方をしていました。こういう間違った報道は、国内報道で飽くことなく繰り返されていて、改善されるという期待が持てないことでもあります。
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