北朝鮮はテポドン2号を再発射するか?
毎日新聞デジタルが、北朝鮮が11月初めに平壌市山陰洞(サンウムドン)の兵器工場からミサイル部品とみられる貨物を東倉里(トンチャンリ)にある西海発射施設に運び込んだと報じました。
衛星写真が捉えた貨物の形状は、4月に北朝鮮が発射した長距離弾道ミサイルに一致し、4月は貨物の運び込みから約20日後に発射していることから、今月末には発射が可能になる見込みだということです。
この記事は2つの観点を無視しています。
1つは、4月の発射から約半年しか経っておらず、前回の墜落原因の特定と対策に十分な時間があったとは思えないこと。
2つめは天候の問題です。発射施設がある東倉里の天候は分かりませんが、北西55kmにある新義州市の今日の天気は晴天で、気温はマイナス5度〜プラス1度、風速3.9m/sです。緯度が東倉里よりも少し南の中国、大連市の気温は0度、風速は4.9m/sです。今月末にはこれはさらに低くなるはずです。
日本の宇宙開発機構の発射施設がある種子島の種子島空港の今日の予想気温は14〜15度、風速は3〜5m/sです。なぜ、日本がこの地に施設を建設したかといえば、冬の低温や強風にさらさるのを防ぎ、ロケットを安定して打ち上げられるようにするためです。それでも、日本では比較的夏に打ち上げが多く行われています。
H-2 A14号機の場合、打ち上げ時の制限事項は、風速16.4m/s以下、雨量8mm/h以下、H-2Bロケットは風速20.0m/s、雨量8mm/h以下などです。気温に関しては特に制限はないのですが、これは種子島の気候が温暖だからでしょう。
スペースシャトルの場合、マイナス1度よりも低温では打ち上げないという記事もありますし、実際低温で打ち上げて事故が起きています。韓国でも低温が原因で打ち上げが中止されたことがあります。それを考えると、北朝鮮のロケットがすでに雪が降った状態で打ち上げられるのかは疑問です。風速も今後強まる場合が増えるわけで、長時間、発射台に据え付けておくことはできなくなります。逆に、悪条件でも打ち上げに成功するようなら、北朝鮮のロケット技術は技術はすごいということになります。私はそれが現実になるとは考えにくいと思っています。
部品を運んだ意図は分かりませんが、打ち上げとは別の目的と考えるのが適当でしょう。アメリカは、部品の移動を捉えたので通告しただけでしょう。
特に、テポドン1号、2号に関して、国内報道には、ロケットの専門家ではない人たちが登場して、とんでもない意見を披露することが繰り返されてきました。今回も、似たような動きが出ると予測されるので注意してください。
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