シリア危機に対処できない赤十字社
BBCによれば、シリアの悪化する状況に赤十字委員会は対処できていません。
「活動する範囲は増加していますが、人道的状況は悪化しています」と、赤十字国際委員会(ICRC)のピーター・マーラー理事(Peter Maurer)は言いました。
一方で、アサド大統領はロシアのテレビ局に、イギリスが提案するようにシリアを出国しないと言いました。声明は反政府派がドーハで会合を持っている時になされました。「私は傀儡ではありません。私は西欧によって作られたのではありません。私はシリア人であり……私はシリアで生き、そして死ななければなりません」。シリアが外国の軍隊に侵略されるならば、対価は極めて大きいと、彼は警告しました。「シリアで問題があれば、そして我々がこの地域の世俗主義、安定と共存の最後の砦なら、それは大西洋から太平洋までドミノ効果を持つのです」。彼は西欧はその方向に動こうとはしないと考えると言いました。「彼らはそうするなら、次に何が起きるかは分かりません」。
マーラー氏は、紛争がより多くの犠牲者を生み、ICRCが犠牲者に接触することを難しくしていると言いました。現在、多くの空白地があり、どれだけの人びとが必要な支援を受けられないのかが分からないと、マーラー氏は付け加えました。ICRCが行き着けない場所として、彼はアレッポとをあげました。ICRCの要員は先週、ホムスのいくつかの地区に行くことができました。マーラー氏はそれが大きな成功だったと言いました。絶えず動く紛争の性質は、ICRCが計画を立てられず、日々の支援の配送の機会をつかまなければならないことを意味します。彼のコメントは、国連外交官と支援組織が、シリアへのアクセスについて議論するためにジュネーブで会合を開く前になされました。
水曜日に、シリアの医療グループは外交の医療支援物資の95%が、政府軍に転用されていると言いました。ICRCは現在のところ、それは証拠がないと言います。
記事の後半は省略しました。
この記事で重要なのは、アサド大統領に退陣する気がないと分かった点です。これでは紛争はさらに長期化します。彼が退陣しないのなら、近くにいる誰かが犠牲になって、彼を暗殺するしかありません。最高指揮官が死ねば、さすがにシリア軍も戦う気を失うでしょう。
記事には書いていませんが、ICRCの活動はダマスカス周辺に限られているのだと思われます。それも、医療グループの主張では、物資のほとんどがシリア軍に使われているとのことです。これは珍しくありません。映画『戦場にかける橋』では、日本軍がイギリス兵捕虜に、ICRCが送ってきた慰問物資を配るシーンがあります。しかし、捕虜だった人たちは、そういう物資は受け取ったことがないと言います。日本軍は物資が不足していたので、それらを転用していたのです。日本軍の習慣は、我々には反面教師であり、こうした行為を認めないという態度を貫かねばなりません。日本の外務省には関心がないことでしょうが、こうしたことについては、常に非難メッセージを出すべきなのです。
シリア北部の物資不足は、トルコから送るしかないでしょう。ICRCではなく、アラブ連盟などの支援物資です。恐らく、現地では組織を作って、物資を配送しているのでしょうが、それらは報道はされません。これから冬を迎えます。風邪などの流行が心配されます。早い解決が望まれますが、日本政府は何もしようとしません。毎日報じられる政治ニュースの迷走ぶりには言葉もありません。これで平和国家のつもりなのですから、困ったものです。
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