レポートは早期のロケット打ち上げがないことを示唆
先日から言われている、北朝鮮の長距離ロケット発射についてですが、38north.orgからニック・ハンセン氏(Nick Hansen)のレポートが公開されました。とりあえず、要旨の部分だけ紹介します(レポートはこちら)。
要 旨
西海岸に位置する西海衛星発射基地(一般的には東倉里と呼ばれています)で、北朝鮮のロケット発射準備が進行中であると考えられます。11月23日と26日に公開されたDigitalGlobe社の衛星写真に基づくと、銀河ロケット(テポドン2号とも呼ばれます)の最初の2段機体を運ぶトレーラーが主要なミサイル組み立て工場の近くに駐車しているのが見られ、最終的な発射のために打ち上げ台へ移動する前に、ロケットの機体がチェックされたことを明白に示しました。[1]
その他の打ち上げに関連する活動が進行中です。空のタンクが4ヶ所に見られ、打ち上げ台の燃料貯蔵ビルがロケットに燃料を供給するのに備えて充填されたことを示します。打ち上げを監視する計測施設はまだ完全ではなく、アンテナらしいものを備えた仮設の建物の1つが施設に設置されていますが、計測トレーラーはまだ組立工場の近くに駐車しています。掩蔽された一時的な駐車施設の建設を含め、仮設の過去にVIPが使用した家屋で活動が増えています。さらに、観測用ビルと敷地に主要な改善がなされています。
一般的に春や夏に打ち上げを行う過去の習慣に反して、なぜ平壌がこの時期に長距離ロケットを発射する方向へ動いているかは、厳密には不明のままです。推測は11月29日に計画されていた韓国の衛星打ち上げに促進された南北の競争へと集中されています。平壌が過去の打ち上げ準備を踏んでいるのなら、12月の最初の週末にロケットの打ち上げ準備ができるかも知れません。しかし、過去の習慣はロケットの1段機体と2段機体の落下点に近い、海域と空域の日付と時刻を発表し、前もって衛星の周波数の計画も提出することにもなっています。それがまだ起きていないので、早急な打ち上げへの窓は閉じているように見えます。
[1] もし、これが衛星の打ち上げなら、恐らく、銀河4号と呼ばれるでしょう。
レポートには衛星写真も掲載されていますので、ご覧ください。
ハンセン氏は、私のように気象に関する指摘はしていませんが、進行中の準備と過去の習慣との食い違いを指摘して、早急な打ち上げはないと結論しています。
これが先日から叫ばれている北朝鮮のロケット打ち上げの実態でした。一番肝心な部分はまったく報じられていません。これが国内報道の最大の欠点です。勝手に先回りして、読者が読みたいだろうということを、事実よりも優先するのです。これだから私は、国内報道は半分は詐欺だというのです。
読売新聞は「北朝鮮は今回、これまでのミサイル発射時と異なり、『地球観測衛星』を発射するとの予告や関係国際機関への通報を行っていない。だが、米政府などは、北朝鮮が発射を強行する可能性が高まっているとみて警戒を強めている。」(山口香子記者)と書きました。
客観的な分析と、政治的な動きは、また別です。国連安保理でもこの準備は警戒していると報じられていますが、こういう政治的な動きは、北朝鮮に警告を絶やさないことが目的です。
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